2018年6月30日土曜日

日本市場のワイン輸入量・輸入金額

OIVによると、日本市場におけるワイン輸入量と輸入金額は堅調に伸びている。

ワイン輸出国から見れば、この輸入量・金額が伸びている市場は魅力的に見える可能性が高い。

つまりこの数字はワイン輸出国の日本市場に対する印象を考える上でかなり重要だということが言える。

またこの数字は日本人が国内市場を世界市場と比較して相対的に捉える際にも意味を持つものだと思う。

早速、OIVの2017 World Vitiviniculture Situation OIV Statistical Report on World Vitivinicultureの中にある関連する情報を見てみます。以下が関連情報を抽出したものです。


【世界全体での輸入数量の比較(2016年)】 
1位:ドイツ  14.5億L(2012年と比較した場合の伸び率:-5%)
2位:UK  13.5億L(+6%)
3位:米国  11.2億L(+4%)
4位:フランス  7.9億L(+45%)
5位:中国  6.4億L(+62%)
6位:カナダ  4.2億L(+10%)
7位:ロシア  4.0億L(-18%)
8位:オランダ  3.8億L(-3%)
9位:ベルギー  3.1億L(0%)
10位:日本  2.7億L(+4%)
世界全体:104億L(+4.3%)


【世界全体での輸入金額の比較(2016年)】 
1位:米国  50億ユーロ(2012年と比較した場合の伸び率:+27%)
2位:UK  35億ユーロ(-10%)
3位:ドイツ. 25億ユーロ  (+1%)
4位: 中国  21億ユーロ (+74%)
5位:カナダ  16億ユーロ(+4%)
6位:香港. 14億ユーロ(+74%)
7位:日本   13億ユーロ(+12%)
8位:スイス  10億ユーロ(+4%)
9位:オランダ  9億ユーロ(+6%)
10位:ベルギー  9億ユーロ(-8%)
世界全体:280億ユーロ(+11%)※
※OIVの世界全体の伸び率の数値が間違っているように思える。1.1%となっている。
ここでは2012年時点の250億ユーロ、2016年時点の280億ユーロから算出している。


【要点】
①日本市場は数量・金額とも伸びている。
②日本市場の規模は世界でも上位10位以内に入っている。
③数量を基準に考えた場合、日本は世界全体の平均の伸び率と概ね同じペースで伸びている。
④金額を基準に考えた場合、日本は世界全体の平均の伸び率概ね同じペースで伸びている。
⑤世界全体について言えば、数量の伸び方よりも金額の伸びの方が

大きい。
⑥地理的に考えた場合、日本の東側には金額ベースで最大の輸入国である米国がある。
また、西側の欧州ーアジアを繋ぐ海上輸送ルートの川上にはアジア最大の市場である中国と香港がある。この2つの地域は世界で最も輸出金額の伸びが顕著である。
⑦世界全体を考えた場合、数量よりも金額の伸びの方が大きい。つまり輸入されるワインの高価格化が進んでいる。


【個人的な考察】
・日本市場は数量・金額ともに成長市場であり、ワインの売り手からすれば無視できない存在であると思われる。ただ、日本の東西にはさらに劇的な成長を遂げている市場(中国、米国、香港)があり、それらの地域と比較すると日本の成長率は目立たない。
・一般には海上輸送ルートというのはあまり馴染みがないかもしれない。ただ輸出・入に携わる人間からすれば海上輸送の運賃と輸送にかかる時間的なラグは無視できない要因である。これについては別の会で考えたいと思う。

【参照】
2017 World Vitiviniculture Situation OIV Statistical Report on World Vitiviniculture. International Organisation of Vine and Wine. [online] Available at http://www.oiv.int
Accessed on 30 June 2018.

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