2017年3月5日日曜日

通関統計データを使って考えるチリ産ワイン

ワインの輸入状況を調べる時にとても便利なデータの一つが、
通関統計データです。

何ができるかというと、
①どの国から
②どんな品目を
③どれだけの数量
④どんな価格で
等々
輸入(・輸出)しているのかがわかります。

今回は、2016年に輸入実績でフランスを追い抜いたチリワインについて
考えてみます。

(最新の日本の輸入状況についてはコチラをご覧ください)

【通関統計を使う上での基本知識】
●H.S.コード:輸入・輸出される品目に振り分けられる番号のことです。
関連するものについては以下の通り。
  1. ワイン:2204.21-020
   2l以下の容器に詰めたもの。バルクで輸入し、国内で瓶詰めするものは含まない。
  2. スパークリングワイン:2204.10-000
  3. シェリー・ポート等の酒精強化ぶどう酒:2204.21-010
  4. 未発酵・アルコール無添加のブドウ果汁:2009
(予備知識)
輸入ワインの関税率:ココで2017年版が確認できます。
特恵国、メキシコ、スイス、チリが突出して関税が低いことがわかります。
豪州も安くなってきていますね。


この番号を使って、財務省貿易統計の検索ページで適当なデータを検索します。
今回は、「品別国別表」を使って調べます。


【ワインの輸入状況(全体)】
●2011
    ①数量:14,4355,282L
    ②金額:6968,607万円
    平均単価:482/L
●2012
    ①数量:18,1125,111L
    ②金額:8286,303万円
    平均単価:457/L
●2013
    ①数量:18,0166,276L
    ②金額:1,027250万円
    平均単価:570/L
●2014
    ①数量:18,0874,110L
    ②金額:1,1172,401万円
    平均単価:617/L
●2015
    ①数量:18,5614,790L
    ②金額:1,1424,527万円
    平均単価:615/L
●2016
    ①数量:17,2393,150L
    ②金額:9935,218万円
    平均単価:576/L


【チリワインの輸入状況】
●2011
    ①数量:2,4174,709L
    ②金額:611,320万円
    平均単価:252/L
●2012
    ①数量:3,1582,982L
    ②金額:815,630万円
    平均単価:223/L
●2013
    ①数量:3,6435,236L
    ②金額:1135,694万円
    平均単価:311/L
●2014
    ①数量:4,3695,138L
    ②金額:1445,896万円
    平均単価:330/L
●2015
    ①数量:5,1592,874L
    ②金額:1854,922万円
    平均単価:359/L
●2016
    ①数量:5,0535,251L
    ②金額:158931万円
    平均単価:312/L


ちなみに、この単価はワインの製品代、輸送コスト、保険代を
加味して計算されたものです。
要するに、港まで持ってきた際のワインの単価はこの程度なのです。
そこから国内物流費、販管費、サプライチェーンでの他コストが
加算されていき、店頭での販売量単価が決定されます。


【考察】
・チリワインは直近5年の間、輸入ワインの平均単価と比較して
   2300/Lほど安価だった
   ただし、金額ではフランスに遠く及ばない。
・チリワインが全体に占める割合は特に数量ベースで高く、2011年時点で
16%、2016年では29%まで増加した
・輸入ワインの金額を調べる上では為替の影響が大きい。
   20112012年に円高が進み、輸入ワイン全体の単価が上昇したと思われる。



今回は使用しませんでしたが、通関地(港・空港)別の通関実績を
調べることもできます。
これを使うと、例えば名古屋地区周辺で通関されたチリのワインの
単価なんかも把握できます。
また通関統計は月別でも利用できるため、ワインが輸入されるピークの
時期もわかります。
ご興味がある方はそちらもチェックしてみてください。


Reference
  1. 『品別国別表』, 財務省貿易統計, 財務省, 2017, http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm?M=01&P=0201735日)

2017年3月4日土曜日

プロセッコとスパークリングワインの市場規模について

【プロセッコの名称に関するヒエラルキーについて】
情報元:リンク①
こんなにあるのか、と言う感がありますよね。


【スパークリングワインの販売量について】
情報元:リンク②

スパークリングワイン全体の販売量
 12016年:221.3m 9l cases = 1,991.7 ml 
 22020年:240.4m 9l cases = 2,163.6 ml
※この期間の成長率は約8.6%

プロセッコの販売量
 12016年:25.2m 9l cases = 226.8 ml
 同年の全体量に対して11%
 22020年:34.4 m 9l cases = 309.6 ml
同年の全体量に対して14%

市場の大部分は欧州域内に限られる2016年時点では80%、
2020年でも76%は欧州内で消費される。


【プロセッコの主な市場について】
イタリアでの販売量
12016年:9.450 m 9l cases
 同年のプロセッコの市場全体に対して38
22020年:12.657 m 9l cases
 37

イギリスでの販売量:
12016年: 5.495 m 9l cases
 同年のプロセッコの市場全体に対して22
22020年:8.285 m 9l cases
24


【プロセッコのに関する一日本人として考察】
・国際市場での日本の存在感はほぼ皆無。
10位以下の国の市場シェアは2016年時点で約8.4%2020年においては約7.8
そもそもプロセッコの市場自体が欧州域内に偏っている。
・イタリアの輸出者から見れば、近場の欧州域内に巨大な市場シェアがあるなか、
遠方に運んで販売するとような魅力は乏しいか?
・国内への輸入量は少ないため、バルクでの輸入数量も少ないと思われる。
輸送コストが単価に占める割合は高くなると予想される。


【ワイン市場全体で考えた場合の分析】
●2016年時点での世界のワイン生産量:259mhl
同年のスパークリングワインの販売量:19.91mhl(含シャンパーニュ)
 →データの種類が異なるので単純に比較はできないがけど、
概ね1割弱かと思われる。

中国のスパークリングワインの市場規模
 12016年:1.53m cases
 世界のスパークリングワイン市場規模に対して0.6%
 22020年:2.2m cases
0.9%
中国も、今後の成長次第だけど、2020年になっても極端に魅力的な
市場にはならない。

分析少ない。。。


Reference
  1. "The world of Prosecco", Consorzio TUTELA DEL VINO CONEGLIANO VALDOBBIADENE PROSECCO, http://www.prosecco.it/en/prosecco-superiore-docg/# (201734日)
  2. Patrick. S, "Prosecco 'Takes over from discounted Champagne', 2017, "https://www.thedrinksbusiness.com/2017/03/prosecco-takes-over-from-discounted-champagne/201734日)