ワインの輸入状況を調べる時にとても便利なデータの一つが、
通関統計データです。
何ができるかというと、
①どの国から
②どんな品目を
③どれだけの数量
④どんな価格で
…等々
輸入(・輸出)しているのかがわかります。
今回は、2016年に輸入実績でフランスを追い抜いたチリワインについて
考えてみます。
【通関統計を使う上での基本知識】
●H.S.コード:輸入・輸出される品目に振り分けられる番号のことです。
関連するものについては以下の通り。
1. ワイン:2204.21-020
※2l以下の容器に詰めたもの。バルクで輸入し、国内で瓶詰めするものは含まない。
2. スパークリングワイン:2204.10-000
3. シェリー・ポート等の酒精強化ぶどう酒:2204.21-010
4. 未発酵・アルコール無添加のブドウ果汁:2009
(予備知識)
●輸入ワインの関税率:ココで2017年版が確認できます。
特恵国、メキシコ、スイス、チリが突出して関税が低いことがわかります。
豪州も安くなってきていますね。
この番号を使って、財務省貿易統計の検索ページで適当なデータを検索します。
今回は、「品別国別表」を使って調べます。
【ワインの輸入状況(全体)】
●2011年
①数量:1億4,435万5,282L
②金額:696億8,607万円
※平均単価:482円/L
●2012年
①数量:1億8,112万5,111L
②金額:828億6,303万円
※平均単価:457円/L
●2013年
①数量:1億8,016万6,276L
②金額:1,027億250万円
※平均単価:570円/L
●2014年
①数量:1億8,087万4,110L
②金額:1,117億2,401万円
※平均単価:617円/L
●2015年
①数量:1億8,561万4,790L
②金額:1,142億4,527万円
※平均単価:615円/L
●2016年
①数量:1億7,239万3,150L
②金額:993億5,218万円
※平均単価:576円/L
【チリワインの輸入状況】
●2011年
①数量:2,417万4,709L
②金額:61億1,320万円
※平均単価:252円/L
●2012年
①数量:3,158万2,982L
②金額:81億5,630万円
※平均単価:223円/L
●2013年
①数量:3,643万5,236L
②金額:113億5,694万円
※平均単価:311円/L
●2014年
①数量:4,369万5,138L
②金額:144億5,896万円
※平均単価:330円/L
●2015年
①数量:5,159万2,874L
②金額:185億4,922万円
※平均単価:359円/L
●2016年
①数量:5,053万5,251L
②金額:158億931万円
※平均単価:312円/L
ちなみに、この単価はワインの製品代、輸送コスト、保険代を
加味して計算されたものです。
要するに、港まで持ってきた際のワインの単価はこの程度なのです。
そこから国内物流費、販管費、サプライチェーンでの他コストが
加算されていき、店頭での販売量単価が決定されます。
【考察】
・チリワインは直近5年の間、輸入ワインの平均単価と比較して
2~300円/Lほど安価だった。
ただし、金額ではフランスに遠く及ばない。
・チリワインが全体に占める割合は特に数量ベースで高く、2011年時点で
約16%、2016年では29%まで増加した。
・輸入ワインの金額を調べる上では為替の影響が大きい。
2011~2012年に円高が進み、輸入ワイン全体の単価が上昇したと思われる。
今回は使用しませんでしたが、通関地(港・空港)別の通関実績を
調べることもできます。
これを使うと、例えば名古屋地区周辺で通関されたチリのワインの
単価なんかも把握できます。
また通関統計は月別でも利用できるため、ワインが輸入されるピークの
時期もわかります。
ご興味がある方はそちらもチェックしてみてください。
Reference
- 『品別国別表』, 財務省貿易統計, 財務省, 2017, http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm?M=01&P=0(2017年3月5日)
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