2019年7月24日水曜日

Clos des Fous Würm 2013

ごく個人的ではありますが、凄く良いワインを飲むことができたためそれについて書いてみます。

 チリで高品質ワインを生産している Clos de Fousという生産者がいます。

以前にもシャルドネとカベルネ・そーヴィニョンのワインを飲んだことがあり、レベルが高いメーカーだなと思っていました。

今回新たに飲んだワインはその生産者が手がけた Würm 2013 というものです。

美味しいか美味しくないかという次元を超えて、感覚に訴えるような優美さがあったようにすら感じました。

ごく私的ではありますが、忘備録も兼ねて書き記しておきます。

Würm というキュベに関する情報は少ないため、生産者情報についてが主となります。

【Clos des Fous】 
2008年に設立された新興のワイナリーです。

バランスと地域の個性を最大限に発揮するワインを製造することを重視しています。

チリの複数の地域にぶどうの木が育つのに限界とも言える場所を探し出し、そこで収穫されるぶどうから類い稀なワインを製造しています。

感慨も行わないことに重きを置いており、その点ではヨーロッパの銘醸地と同じです。

栽培地域は高度が1,000mを超える高地から海の冷涼な影響を受ける海岸地域まで非常に多彩です。

どの地域でも高品質なぶどうの栽培に最適と思われる場所を探し出し、最適な品種・クローンを植えることで明確な個性のあるワインを生み出しているようです。

シャルドネもこれがチリのワインかと思えるほど煌びやかですが、ピノ・ノワールやカベルネも誠に優秀です。

特に今回飲んだものは Würm 2013というキュベで、度肝を抜く品質のワインでした。

かつて新世界のワインに多かった行き過ぎたアルコール感や熟れきった果実味といった感は皆無で、酸味やタンニンののバランスが秀悦でした。

それだけでは単なる優秀なワインとなるかもしれませが、個人的にはそれ以上に魔法のような味わいの奥行きがあったようにさえ感じました。

飲んだ瞬間に香りが立ち、味わいも当然いいのですが、味覚どうこうではなく頭に直接訴えてくるような感覚を楽しめました。
(当然ですが、この部分はこれ以上ないくらい主観的です。)

【参考】
Clos des Fous. PEDROPARRACHILE. Available at https://pedroparrachile.wordpress.com/
Accessed on 24 July 2019.

Clos de Fous, The Wine Society. Available at https://www.thewinesociety.com/
Accessed on 24 July 2019.

Clos des Fous. Liberty wines. Available at https://www.libertywines.co.uk/
Accessed on 24 July 2019.


2019年7月23日火曜日

ワインの輸入状況について②

前回は日本のワインの輸入数量・金額の推移を調べました。

今回はどの国からどのくらいの数量・金額を輸入しているのか調べてみます。
(今回も前回と同じく、調べる対象は2L以下の容器に入った状態で輸入されたワインです。)


2018
数量 (L)
比率
金額 (千円)
比率
平均単価 (/L)
チリ
51,415,532
30.9%
16,262,848
15.1%
316.3
フランス
42,203,013
25.4%
45,453,313
42.3%
1,077.0
イタリア
30,237,350
18.2%
16,869,758
15.7%
557.9
スペイン
17,521,383
10.5%
5,797,438
5.4%
330.9
アメリカ合衆国
7,174,766
4.3%
12,793,243
11.9%
1,783.1
オーストラリア
6,856,308
4.1%
3,157,321
2.9%
460.5
ドイツ
2,402,210
1.4%
1,592,010
1.5%
662.7
南アフリカ共和国
2,076,301
1.2%
1,107,372
1.0%
533.3
アルゼンチン
2,002,571
1.2%
1,095,037
1.0%
546.8
ポルトガル
1,286,895
0.8%
522,788
0.5%
406.2
合計
166,380,690

107,461,500

645.9
(貿易統計 国別品別表のデータを基に作成)


この表の上位にランクインしている国のワインは日本人から指示されていると言えそうです。

これを中国の状況と比較してみます。



2018
数量 (million litres)
比率
金額 (million USD)
比率
平均単価 (USD/L)
フランス
173.83
25.3%
1,058
37.1%
6.1
オーストラリア
119.3
17.4%
723.25
25.4%
6.1
チリ
74.67
10.9%
269.7
9.5%
3.6
イタリア
36.03
5.2%
168.4
5.9%
4.7
スペイン
61.2
8.9%
162.1
5.7%
2.6
アメリカ
12.8
1.9%
75.5
2.6%
5.9
南アフリカ
9.8
1.4%
32.9
1.2%
3.4
ニュージーランド
2.52
0.4%
28.77
1.0%
11.4
アルゼンチン
5.23
0.8%
26.18
0.9%
5.0
ドイツ
5.17
0.8%
25.8
0.9%
5.0
合計
687.5

2,850

4.1
The Drink Business のデータを基に作成)



中国の市場規模が大きい事に驚かされます。
輸入量は日本の約4倍。すでに数量よりも金額の伸びが大きいという量よりも品質を重視した動きが進んでいます。

フランスは日本・中国のどちらでもシェアが高いのですが、オーストラリアのシェアでは明確な格差があります。
日本の豪州ワインの輸入数量が 6.9 million Lであるのに対して、中国では 119.3 million Lです。
また中国での同国のシェアは 17.4%です。

国が違えばワインを取り巻く環境が変わり、流行るワインもそれに応じて変化するということがわかります。

市場が成熟する過程で消費者の嗜好が変われば求められるワインの価格帯も変わっていきます。

高品質のワインがもてはやされる中、廉価であまり個性がないワインは劣勢に立たされているのでしょうか?

仮にそうであれば製造者・栽培農家にどんな影響が生じて、どういう変化が予想されるのか?

次回はそのあたりについて調べれればと思います。

【出典】
貿易統計, http://www.customs.go.jp/toukei/search/futsu1.htm (2019年7月22日 取 得)

Accessed on 23 July 2019.

Accessed on 23 July 2019.

Accessed on 23 July 2019.


2019年7月20日土曜日

ワインの輸入状況について

日本のワインの市場は大きくなっているのか?どうなのか?

気になる方も少なくないのではないでしょうか?

市場規模は生産側から見ればワインを売り込む上で非常に重要な指標ではなかろうかと思います。

今回は貿易統計と使って、そこの点について確認してみます。

ワインの輸入数量が伸びていれば、市場が大きくなっていると考えられます。

(今回は筆者の怠けのため、2L以下の容器に詰められたワインだけを対象として考えます。
また、スパークリングワインや酒精強化ワインは対象に含まれません。)


【ワインの輸入数量について】
1988年以降の日本のワインの輸入量・金額は以下の通りです。
今回は10年毎の数値を抜粋しております。


(以下の数値は目安程度としてお考えください。
必ずしも輸入された全ての数量・金額を含んでいるわけではありません。)




1988
1998
前期比
2008
前期比
2018
前期比
貿易相手国
32カ国
50カ国
156%
48カ国
96%
60カ国
125%
数量 L
46,559,366
242,500,454
521%
118,936,772
49%
166,380,690
140%
金額 (千円)
21,723,169
143,875,693
662%
90,830,547
63%
107,461,500
118%
                                                 (貿易統計 国別品別表のデータを基に作成)


巷のニュースではよくワインの市場は伸びていると報道されています。

たしかに正しいのですが、1998年の時点では現在よりもかなり市場が大きかったと言えます。

1998年と言えば日本の貿易黒字が歴史上最も高くなった年だそうです(1)。

ちなみにバブル景気が終焉した後も家計の出費は1998年まで増加していたようです(2)。

1998年のワインの輸入状況も国内全体の景気と並べて考えれば辻褄が合っていると言えます。



【通関統計を活用したい方への注意事項】
通関統計上の実績には一部の輸入実績が含まれていない可能性ことがあります。
一定の条件に合致した場合は、輸入者の申請によって輸入実績が表示されなくなることがあるためです。
そのため、上記のデータは全体の大まかな流れを反映した概算数値としてご認識ください。



(1)
縄田 康光, 「貿易収支の悪化とその背景」, 『経済のプリズム No132』, 2014年11月, 29頁

(2)
市川 正樹, 「1998年を節目とした日本経済の変貌」,『大和総研調査季報 2013年 春季号 Vol.10』

【出典】
貿易統計, http://www.customs.go.jp/toukei/search/futsu1.htm (2019年7月17日 取 得)