2018年8月4日土曜日

テイスティングの表記に使える英語の表現について

テイスティングという行為はワインに慣れていない人から見れば至極分かりにくいものに違いないないでしょう。そもそもその行為自体が部外者にとってはとっつきにくいだけでなく、一般的な日本人にとってはピンときそうにもない単語が幅を聞かせていることも理解を妨げる一因かと思います。とは言っても、ワイン好きにとってはテイスティングの表現力と他の方が魂を込めて書いて頂いたテイスティングノートを正しく読解(あえてこの単語を使います)する能力は必須であります。そのでこの能力を磨く必要があるのですが、なかなか難しい課題ですよね。

解決法はと言いますと、もうこれは出来るだけ多くの用語・表現の意味を理解して覚えておくしかないです。できれば覚えた表現を吟味しながら能動的に使ってみると、さらに理解が深まり知識として覚えたものが身に付いて来ます。ということで、今回はワインの香りや味わいを表現する際に使われやすい用語について書いてみます。とは言っても役に立つリンクを紹介するにとどまっている節がありますが。

Decanterという英語のワイン雑誌がありますが、私は本誌が大好きです。ネットで検索出来る記事が豊富でどの記事も深いところまで考え抜かれて書かれているように感じます。その記事の中でワインのテイスティングの表現に頻繁に用いられる果物やハーブなどが指す意味が纏められたものがありましたので、以下に書き記しておきます。Decanterの回し者ではありませんが、非常に役に立つ情報だと思います。

ワインの香り・味わいの記述したものをテイスティング・ノートと呼ぶことがあります。個人的にこれを書く上で大事だと思うことは以下の二点です。まず、誰かが書いた記述を読む場合、書き手の記述した言葉の意味となぜその言葉を選んだのかを考えることが大切です。ワインの表現に使われる単語(descriptor)は様々のものがあり、その数は膨大です。テイスティングノートにはその中でも書き手が最も適しているとして厳選した単語が使われています。例えば、果皮の色が黒い果実を使ってワインの味わいを表現する場合には書き手は blueberry、cassis、bramble、black cherry、plum、raisin、pruneといった多数の単語から最も適切と思われるものを選んでいるはずです。これらの単語の使い分けについては参照1で詳細に述べられています。実際に2つの例を考えてみましょう。この中でblueberryが使われた場合、豊かな酸味とバランスがとれた甘やかな果実味があるワインであることが強調されます。これとは別にbrambleの場合を考えましょう。この単語はもともとは英国内の園芸シーン(!)で一般的なblackberryの茂みを指す単語です。そのためこの単語が使われた場合には単純にblackberryの味わいを意味するだけでなく少し植物っぽい、もしくはその葉っぱのようなニュアンスがあるという意味が込められることになります。この辺りの意味は能動的に勉強しなければわかりませんね。逆に一度覚えてしまえば表現の幅がグンと広がる武器にもなり得ます。これについて勉強されたいかたは是非以下のリンクを参考にしてみてください。2つ目に大事なことは、自分がテイスティングコメントを書く際にも出来るだけ最善の単語を使ってワインを表現しようと努力することです。ひいてはそれが出来るようになるために日頃から語彙を磨くなどの訓練を積んでおく必要が出てくるわけです。ワインは本当に難しい。。。


ワインを表現する際に使われる様々は果物、ハーブ、スパイス等について
参照1を読んでみてください。一見の価値ありです。


またこれらの果実やハーブの名前とは別に、その香りや味わいの性質を表現する際に使われる形容詞も重要です。私個人としてはこの形容詞は上の単語(英語ではdescriptorと呼ばれます)よりは重要度が下がるかもしれませんが、使い分けられると雰囲気が更に伝わりやすくなると思います。ワインで使われやすい形容詞のものは以下かなと思います。


Complex
ワインの世界では良い意味で複雑さに富むという意味。わかりにくくて難しいというような悪い文脈ではComplicatedの方が多い。
Concentrated
凝縮された、という意味。
Delicate
繊細である。良い意味で使われることが多い。
Distinct
意味が多い単語ですが、ワインの場合は明白に〇〇のような性質が感じられるという場合に使われる。The distinct note of ...といった使い回しになる。
Elegant
優雅さを携えた性質を指す。必然的に高級ワインの表現に登場しやすい。An elegant bouquet of ...といった使い方が多い。
Grassy
芝や下草のような性質を指す。ソーヴィニョン・ブランで特によく使われる。
Herbaceous
植物っぽいという意味の表現。場合にもよるが、この性質自体が悪いわけではない。他の要素とのバランスによってはマイナスにもプラスにも使われる。
Leafy
葉っぱのようなニュアンスを加える際に使用される。Herbaceousと同じく、必ずしも悪い文脈で使われるわけではない。
Lush
非常に濃厚。気分が高揚するほど良いと言った感情的なニュアンスが入る。
Peppry
特に胡椒のような特徴がある時に使われる。
Piquant
食欲をそそるような心地よさを伴う刺激的な様子を指す。悪い意味では使われない。
Rich
濃厚であったりボディが強いことを指す。
Savoury
ワイン分野の内にいるか外にいるかで若干意味合いが変わる!ワインの世界以外では塩っけを伴う味わいのことを指すことが多い。ワインの世界では塩みに限定されず食欲をそそる様を指す際に使われることが多い。
Simple
単純・単調である際に使われる。必ずしも悪い意味ではない。逆に早飲みされるワインでは好ましい性質とされる。
Spicy
スパイシー。良い意味で使われることが常で良い意味で刺激的。
Straightforward
率直でわかりやすい様を指す。
Strong
程度が強いことを意味する。Delicateと対照的。Pronouncedに近い。
Subdued
穏やか、もしくは抑制されたといった意味。落ち着いたとも訳される。
Subtle
わずかに〇〇のニュアンスがあると言った感じを出す表現です。
Tangy
香りや味わいが強く、かつ性質が適度に鋭い様を表す。特に若いピノ・ノワールに多様されるように思う。
Vibrant
ハツラツとした様を強調する際に使われる。特に酸味を性質を表現する際に多様される。名詞はVibrancy。
Voluptuous
感覚的に心地良い様を指す。ワインの分野以外で聞けば性的に魅力的という意味を連想しないわけではない。

また形容詞ではなく名詞ですが、「edge」という表現も役に立ちます。際立って何かの性質が認識出来る場合につかわれる単語です。The pepery edge ... といった形で使われます。上の「Distinct」に近しい使われ方をします。

【参照】
Seal, Laura.(2018). Tasting notes decoded: What is velvety wine?. Decanter. [online] Available at https://www.decanter.com/
Accessed on 4 August 2018.



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