ブドウ畑は基本的に急斜面の上に設置されていてその斜面の勾配は最大で60°にもなります。山登りであれば避けて通りたいくらい急な斜面ですね。畑はローヌ川の右岸(基本的に川の流れる方向を向いて右側が右岸です)に沿って配置されており、川はこの辺りでは南西に蛇行しています。畑は概して南東向きの急斜面の上にあるためブドウの成熟を促すために必要な日射量を確保することができます。もう一つの斜面の利点は北西側が斜面によって守られているため北風からくる気候の影響を受けにいことです。つまりこの土地では栽培するのは大変そうですが、ブドウの品質を向上するためには大変好ましい環境に設けられていると言えます。難点としては斜面の勾配が急なためブドウは段々畑に植えられており機械化は制限されます。また棚田ではない場合には土が流出を避けるために常に畑の維持・管理を継続する必要があります。季節によっては強風が吹くためブドウの木は手作業で二本の支持棒に固定される必要があります。要するに北ローヌ全般にも言えることですが、この地域は大規模生産とは程遠い産地となっています。この背景のためか歴史的には常に盛んに作付けがされてきたわけではなく、最近の畑の増加は1970年以降に急に人気が高まったために起こったと考えて良さそうです。この人気上昇期に決定的な影響を与えた生産者がE. Guigal社です。1965年にLa Moulineという高品質なブドウがとれるとされていた古木の畑を取得し、その後にそこで収穫されたブドウだけを用いて高品質のワインの作りだしました。1969年のLa Moulineはもはや伝説扱いされるほどのワインになっています。ローヌにおいては伝統的に大樽で発酵・熟成を行うことが一般的だったのですが、La Moulineの場合は新樽を用いて42ヶ月も熟成されたワインでありこの点でも当時としては特異な存在でした。その後に1978年のビンテージからLa Landonne、さらに1985年にはLa Tarqueという二つの単一畑のブドウを用いたワインを作り出し、結果的にCôte-Rôtieの名声を高め、さらには栽培規模の拡大の立役者となりました。
毎回ですが、栽培の規模を確認すると以下の通りでした。
【栽培規模】
●栽培面積:308ha(2016年)
●ワイン生産量:12,606hl(2016年)
※全て赤ワインです。ViognierもSyrahにブレンドされ赤ワインとなります。
●収量:41hl/ha
価格が高騰しやすい要素が多い産地です。基本的に花崗岩(Granite)と片岩(Schist)が多い土壌ですが、そのなかでも相対的に石灰質の土の比率が多い地区は土の色が明るくCôte Blondeと呼ばれ、反対にそうでない色が茶色に近い土壌の地区はCôte Bruneと呼ばれそれぞれ異なるスタイルのブドウが収穫されます。これらからできる性格が異なるワインをブレンドすることもありますし、白ワインであるVigonier種を混醸することでタンニンを抑えつつ芳香性を強調する試みも行われています。現在ではSyrah種とVigonier種の混醸はあまり行われなくなっていますが、この醸造方法は現在でも北ローヌで続いている独特の製法の一つです。
【参照】
1.
KEY FIGURES. Rhone-wines.com. [online] Available at http://www.rhone-wines.com
Accessed on 25 August 2018.
2.
Brook, S.(2016). Wine Legend: E. Guigal, La Mouline, Côte-Rôtie 1969. [online] Available at https://www.decanter.com
Accessed on 26 August 2018.
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