2018年1月2日火曜日

発酵温度について

前回、TrimbachのGewurztraminerをテイスティングしました。
テイスティングコメントはこちらです。

発酵温度について考えるようになったきっかけは単純でした。

上記のテイスティングの際に、Gewuztraminerの品種の個性として頻繁に挙げられるライチ、バラ、ジンジャーといった要素を嗅ぎとることができなかったのです。

なぜ香りを取れなかったのか。。確証はありませんが風邪ではないことは確かな様でした。

早速本題に入ります。

発酵の際のマストの温度はワインの個性を決定づける重要な項目です。
出来上がるワインのスタイルは発酵の温度によって大きく影響を受けます。

発酵温度が与える影響として、個人的には以下がポイントだと思います。

【発酵温度が与える影響】
1. 酵母の発酵を促進・制限する。白ワインの場合は概ね10〜20℃程度が一般的。
 (高温・低温過ぎると酵母は働けない)
2. ワインに発現する第1アロマ、第2アロマの量が変わる
3. タンニンや色素等が果皮から抽出される量やスピードが変わる。


上記のポイントの中でも白ワインに関しては1と2が重要です。

そして今回のテイスティングでの経験を踏まえて特に考えるようになったのが2のポイントです。


まず、一般的な発酵温度の影響について考えてみましょう。
参照1はWine Follyの記事です。「3. Hot Fermentation vs. Cool Fermentation」の項は大変参考になります。発酵以外のワインを作る上での重要なポイントについても書かれています。一読の価値ありです。


【要点】
低温発酵は主に白ワインの製造過程で用いられる。
温度が6〜10℃である場合、白ワインの繊細な香りが残る可能性が高くなる。


香りの原因物質は分子量が小さく揮発しやすい物質です。これらは水と同じように高温ではさらに揮発しやすくなります。ちなみにこのぶどう由来の香りが第一アロマと呼ばれます。
また高温の場合、特定の化学的な反応が進み易くなるため、果実から抽出された香り以外の香り成分が生成されます。言い換えれば、これが第二のアロマの発生です。


では続いて、今回のテイスティングしたワインであるアルザス地方について考えてみましょう。

参照2はアルザスワイン一般についての情報です
「The secrets」の部分の要約ですが、
1. ニューワールドの低温発酵の時の温度は10-12℃が一般的だが、これはバナナのような香りに繋がる。
2. このような果実味は高品質のアルザスワインのものとは関連しない。

どうも発酵温度が高いことを匂わせる表現です。


参照3はTrimbachの旗艦ブランドであるClos Sainte Huneについての情報です。
このシリーズはリースリングしかないはずですが、発酵温度は20℃です。Gewurztraminerでも同様な可能性はあります。

実際に少なくともリースリングに用いられる発酵温度は少し高めであることがわかります。Trimbachはリースリングを得意とするメーカーです。Gewurztraminerでも同じ温度帯で発酵させている可能性はあるかと思います。


ここで私なりの考察をまとめます。

【考察】
1. おそらくアルザスの発酵温度は全体的に高iいのではないか。
2. 結果的にそのワインは第1アロマが抑えられ、ニューワールドのワインとは違いが生じるのではないか。


長々書きましたが、以上です。

[Reference]
1. 
Puckette, M.(2014). How Wine Making Processes Affect Wine. Wine Folly. [online] Available at http://winefolly.com/. Accessed 2 Jan 2018.
2.
Making Alsace white wine. Wolfberger. [online] Aailable at https://www.wolfberger.com. Accessed 2 Jan 2018.
3. 17 Juin All about Clos Sainte Hune. Trimbach. [online] Available at https://www.trimbach.fr/. Accessed 2 Jan 2018


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