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2018年1月6日土曜日

シャンパーニュのリザーブワイン

シャンパーニュは基本的に異なる収穫年に収穫されたブドウ果汁を使用して製造されることは前回の通りですが、ブレンド用に保存されているリザーブワインはどのくらい存在しているのでしょうか?

気になったので調べてみたことを以下に纏めます。

最初にシャンパーニュワインの経済的な側面に関する概要は以下の通りです。

参照元はComite Interprofessionnel Du Vin De Champagneです。
リンクはこちら


【シャンパーニュワインの経済的側面の概要(2016年時点)】
●出荷数量:3億610万本、その内48%が国外に輸出
●売上;47億ユーロ
    ※参考ですが、この時点での平均単価は約15.4ユーロ/本となります。
●業界への直接従事者数:30,000人

【栽培・製造関連(2016年時点)】
●栽培面積:34,300ha(フランス全体の4%、世界全体の0.4%)
●栽培者数:15,800人
    ※この栽培者がぶどう畑の90%を所有している。
    ※栽培農家による輸出数量は少ないながらも増加しており、2016年では販売数量の約12%が輸出されている。
●生産者協同組合数:140
シャンパーニュハウス:340社
    ※この事業者が全体出荷数量の70%を占めている。
    ※シャンパーニュハウスは輸出比率が高いことで知られており、2016年では彼等の販売量の約59%が輸出されている。シャンパーニュ全体の輸出量の71%(1億580万本)を占めている。

【リザーブワインについて(2016年時点)】
●貯蔵されているブドウの量:2億4,000万キロ(ママ)。ボトル数量に換算すると2億700万ボトル。
    ※単位はおそらくkg。1ボトルのワインを作るために約1.16kgが必要になる計算です。
●収穫量に対する貯蔵数量の比率:約70%


【2016年の収穫量について】
●市場への供給数量について:10,800kg/ha(おそらくブドウ重量基準)
●リザーブの使用量:上記のうち1,100kg/ha。


【シャンパーニュの収穫量の規定について】
●AOCによる規定数量:最大15,500kg/ha
(各年の収穫状況に応じて変動する)
1. 2016年に関しては10,800kg/ha。
2. 2017年に関しては全体で10,800kg./ha。そのうちリザーブは500Kg/ha。
ブドウ重量に対する果汁の製造量:最大で160kgのブドウから102L。


2016年の概況全般については年報をご覧ください。

【まとめ】
要するにシャンパーニュでは膨大な数量のリザーブワインが蓄えられていることがわかります。
直近ヴィンテージにおけるリザーブワインの使用量は規定量あたり約10%(2016年)、約4.6%(2017年)程度。
2016年においてリザーブワインの貯蔵量と全体の販売量を比較すると、リザーブワインは販売量の約78%となる。

[Reference]
1.
Comite Interprofessionnel Du Vin De Champagne(2017). Statistics 2016. [online] Available at https://www.champagne.fr/. Accessed 6 Jan 2018.
2.
Comite Interprofessionnel Du Vin De Champagne(2016). Champagne : First Desicions About The 2016 Grape Harvest. [online] Available at https://www.champagne.fr/. Accessed 6 Jan 2018.
3.
Comite Interprofessionnel Du Vin De Champagne. Champagne : First Desicions About The 2017 Harvest. [online] Available at https://www.champagne.fr/. Accessed 6 Jan 2018.
4.
Comite Interprofessionnel Du Vin De Champagne(2017). Les Expeditions De Vins De Champagne en 2016. [online] Available at https://www.champagne.fr/. Accessed 6 Jan 2018.



2018年1月1日月曜日

ヴィンテージ・シャンパーニュについて

シャンパーニュはスティルワインを比較するとヴィンテージ(収穫年)が記載されたワインの数が圧倒的に少ないです。

では具体的にヴィンテージ・シャンパーニュの販売数量はどのくらいあるのでしょうか?
年によって若干の違いはありますが、だいたいどの年も全体販売量(注1)2%前後になっています。
(詳しい資料に目を通したい方は最下部の参照1をご覧ください。)

そのため、シャンパーニュワインは基本的に複数年に収穫されたぶどうから作られたベースワインをブレンドして作られるものが多い事がわかります。

背景としては色々ありますが、一番の要因はシャンパーニュの冷涼な気候だとされることが多いです。
他の冷涼産地と比較した参考になるSally Easton MWの記事がありました。これによるとシャンパーニュの生育期間中の平均気温は14.7℃で、他の冷涼産地と比較しても全く引けを取らないことがわかります。

基本的に気候が冷涼なため、よっぽど気候が良好な年でなければ単一の年に出来たワインだけでは各製造者が納得する様なスタイル・品質を満たすワインが作れないということです。

ヴィンテージ・シャンパーニュには単一年で作られたぶどうを使用しているため、その味わいにはその一年に収穫されたぶどうの個性が強烈に反映されます。

具体的に言えば通常品(以下、NV)と比較すると完熟した果実味が強く感じ取れるものが多く、味わい自体も大胆です。

果実の性格としてはNVが青リンゴを中心とした酸が際立つ果実を基本に構成されるとすると、ヴィンテージはもう少し甘味や完熟度が高い花梨やリンゴの中でも真っ赤に熟したリンゴの要素が強くなります。

ヴィンテージ・シャンパーニュ特有の個性としてシュールリーでの熟成期間が長いことも挙げられます。
酵母の自己分解に由来する旨味や味わいの複雑さが強化されます。

ちなみにシャンパーニュの場合には樽香を効かせたスタイルは割と稀です。ただし製造者によっては樽内発酵を行なったり、リザーブワインと呼ばれるブレンド用に保存されるワインを貯蔵する際にオーク樽を使用するところもあります。

シャンパーニュでは割と珍しくマロラクティック発酵を行わないことで有名なLansonがですが、2016年からはBlack Label Brut NVに使われるワインに関しては木樽を導入することになりました。その記事が参照2です

Lansonの他に、Krug、Bollinger、Selosseが木樽を使用することで知られています。
シャンパーニュの世界にも製造者がたくさんいますが、このような細かい製造上の個性を見ていくと選ぶのも楽しくなるかもしれません。

シャンパーニュメーカーも品質の向上のため、目立った設備投資をすることが増えてきました。

この背景についてはまた次回書いてみます。

注1:この全体数量のなかには辛口N.V、甘口、Cuvees de Prestige等が含まれています。

【参照】
1.
Les expeditions de vins de Champagne, L’ECONOMIE DU CHAMPAGNE, [online] Available at https://www.champagne.fr/ Accessed 1 Jan 2018.
2.
Easton, S. MW.(2016). TOP 10 COOL CLIMATE WINE REGIONS. The Drink Business. [onlin] Available at https://www.thedrinksbusiness.com Accessed 1 Jan 2018
3.
Schemitt, P.(2015). LANSON USEDS OAK TO UP CHAMPAGNE QUALITY. The Drink Business. [online] Available at https://www.thedrinksbusiness.com/ Accessed 1 Jan 2018

2017年12月29日金曜日

シャンパーニュに関するヴィンテージについて

ヴィンテージ・ワインとは、ある特定の年に収穫されたぶどうを使って製造されたワインのことを言います。

細かく言えば、生産地域の法規によっては若干は他の年の果汁が入っても良いケースがあります。今回はそれについては深く取り上げません。

シャンパーニュについてもヴィンテージという言葉が意味することは同じです。ただし、シャンパーニュに関しては特有の事情があり、若干意味合いが異なるケースがあります。


【ヴィンテージとノン・ヴィンテージ どちらが多数派なのか?】
もしお時間があれば、酒屋さんに置いてあるワインとシャンパーニュのラベルを観察してみて下さい。
おそらく、通常のワイン(スティルワイン)は収穫年の表記があるものが多いと思います。

一方でシャンパーニュはどうでしょうか?

おそらく違うかと思います。よっぽど高価格帯のお店でなければ、記載がないノン・ヴィンテージ(N.V))が多数派であるはずです。

ポートやマデイラ等の一部の酒精強化と似ているのですが、通常のスティルワインと比較するとシャンパーニュは単一の年に収穫されたぶどうからワインを作ることが難しいのです。


今日は短いですが、この辺で一度おしまいに致します。
シャンパーニュについては何度かに分けて、今後も書いてまいります。

2017年12月12日火曜日

シャンパーニュ 2015年のベストセラー 10ブランドについて

年末年始の忘年会シーズンが到来しました。ワインを選ぶ機会も増えるのではないでしょうか?

数あるワインの中でシャンパーニュはどんな状況でも格好がつき、使いやすいのではないかと思います。

今回はそんなシャンパーニュについてです。微妙に古いのですが、2015年の世界でのベストセラー トップ10のブランドについての記事がありましたので紹介いたします。

参照1はThe Drink Businessが2015年のシャンパーニュのベストセラー 10ブランドについて紹介した記事です。

私としてはこの記事は非常に良く書かれていると思います。書かれている内容ですが、ざっくり以下です。

まず最初にシャンパーニュの業界全体の動向について書かれています。具体的に言えば、シャンパーニュはその他発泡性ワインとの競争に晒されており、さらにシャンパーニュの業界内でも各メーカー同士の競争があり、業界全体として高品質化・差別化が進んでいる点が指摘されています。

またシャンパーニュは独特の製造法で作られるため、一般の方には馴染みがない用語が出てきます。それらの単語についても始めに説明がされています。

加えて、各メーカーの現行製品の品種のブレンド比率、熟成期間、更に各社の現在の動向などの重要な情報も良くおさえられています。各メーカーの個性が捉えられている文章も読み応えがあり、優秀な記事かと思います。

今後のために、各メーカーのウェブサイトだけまとめて掲載しておきます。

導入としてこの記事に目を通し、そのあとに各社のサイトを巡るのが良いかと思います。

Canard-Duchêne
http://www.canard-duchene.fr/m/

Lanson
http://www.lanson.com/

Piper-Heidsieck
http://piper-heidsieck.com/en

Pommery
http://www.champagnepommery.com/en/

Taittinger
http://t.taittinger.fr/fifa2014/

Laurent-Perrier
http://www.laurent-perrier.com/

G.M. Mumm
https://www.mumm.com/en

Nicolas Feuillatte
http://www.nicolas-feuillatte.com/en/

Veuve Clicquot
https://www.veuveclicquot.com/

Moët & Chandon
https://www.moet.com/

[Reference]
1.
Schmitt, P.(2016). TOP 10 BIGGEST CHAMPAGNE BRANDS 2016. The Drink Business. [online] Available at https://www.thedrinksbusiness.com/. Accessed 12 Dec 2017.

2017年12月10日日曜日

シャンパーニュとグラスについて

ワインは注がれるグラスによって味が変化する、とはよく言われることです。

今回はグラスの材質とシャンパーニュの味の感じ方についてお話ししますが、その前になぜグラスの形状がワインの味覚的な感じ方に影響するのか復習しましょう。

《前提  なぜワイングラスの形状が味覚に影響を与えるのか》
人間の舌は部分によって感じやすい味覚が違います。酸味が感じやすい部分があれば渋みや甘味、辛味が感じやすい部分もあります。グラスが変わることによって飲む時の舌とワインの触れ方や接触する部分が変わるため、味の感じ方が変化するというのが定説かと思います。

余談ですが、酸味が強いブルゴーニュの赤ワインを飲む時は口がすぼんだグラスを使うことでワインが舌の中心に落ちてくるようにします。この部分は酸味はあまり感じない部分のため結果的に酸味が抑えられることになります。ボルドーグラスやソーヴィニョンブラン用のグラスにもそれぞれのその特徴的な形状‘には意図があります。

《はじめに  グラス形状がシャンパーニュの味覚に及ぼす影響》
それではシャンパーニュワインのような発泡性があるワインではどうでしょうか?
ちなみに、一般的にスパークリングワインはきめ細かい泡が安定的に長く出るものが高品質とされます。
きっと同じように用いられるグラスの形状によって味が変わりそうですよね。シャンパーニュも他の種類のワインと同じように特別な形状のグラスでサービスされることが多いと思います。口先から胴部、底までの直径が小さいグラスが一般的かと思います。また胴部の膨らみはあまりありません。
シャンパーニュの泡は、仮に胴部が太いグラスに注がれてしまうと、液体表面や中心で凝集し泡が大きくなってしまうと言われます。そのため、このような小ぶりのグラスが使われるものと考えられます。


《本論  シャンパーニュの発泡性とグラスの材質の関係性》
シャンパーニュ等のスパークリングワインがスティルワインと違う点は、発泡性があることです。今回のお話は、シャンパーニュは注がれるグラスの材質によって泡の特徴が変わるということについてです。

参照1の要点ですが、ザッとですが以下の通りです。

【要点】
・研究者であるKyle S Sprattらはシャンパーニュの中で発生する泡の大きさのを音響に関する測定のみから調べることができるか、について研究を行った。
・Kyle S Spratらによると、シャンパーニュをStyrofoam(発泡スチロール)でできたグラスに注ぐ場合、発泡する過程がガラスのグラスに注がれた場合と全く異なる。
・泡によって生じる音の周波数は部分的に泡の大きさに依存する。

要するに、シャンパーニュの場合スティルワインと違い泡が生じる過程の違いが味覚に影響し、その発泡の過程はグラスの材質によって変わります。そのため、発泡スチロールやプラスチックのコップにシャンパーニュを注いだ場合、ガラスのグラスに注いだ場合と感じ方が違ってくる可能性があります。

参照2ではさら一歩進んでその他のプラスチックについても述べています。
グラスの材質がプラスチックである場合、泡は強固にグラスの内側にくっつき大きくなるとのことです。その場合、高品質とされる繊細で細やかな泡ではなくなってしまいますね。

Kyle S Sprattらの研究結果ですが、要点の3番目は意外と大事な点ではないかと思います。というのも、泡が出す音と泡の大きさにある程度の相関関係があることを示唆しているからです。具体的に言えば、シャンパーニュを注いだ時の泡のプチプチする音が音程的に高く感じる場合、泡の大きさは概して小さい傾向がある、ということが言えるかもしれないのです。

となるとブラインドデイスティングの際に使えるツールが1つ増えることになるため、個人的にはオリジナルの論文を是非とも読んでみたいです。

[Reference]
1.
Hosie, R.(2017). CHAMPAGNE TASTES DIFFERENT IN PLASTIC CUPS COMPARED TO GLASS FLUTES, STUDY FINDS. Independent. [online] Available at http://www.independent.co.uk/. Accessed 10 Dec 2017.
2.
Edwards, J.(2017). Why you should never drink Champagne out of a plastic cup. COSMOPOLITAN. Available at http://www.cosmopolitan.com/. Accessed 10 Dec 2017.


2017年12月3日日曜日

シャンパーニュワインのリコールについて

12月1日付のJust Drinkの記事で以下の様な報道がありました。
シャンパーニュに関して大規模なリコール問題が発生したとのこと。
そのニュースが参照1です。

参照1から要点を取ると、
1. ランスにある瓶詰め工場で製造された5百万本のシャンパーニュがリコール対象になった。
2. リコール対象になった5百万本は全てサプライチェーンの段階で回収される可能性が高い。
3. 完了するのには時間がかかるものの、対象のワインを移し替えることなどにより問題を解決できる。

問題が発生したワインの量の規模を考えてみます。2017年の販売量が不明なため、2016年の販売量と比較して考えるとします。2016年の販売量は参照2によれば3億610万本です。生産年が違いますが、5百万本は2016年の販売量を基に計算すると全体の約1.6%になります。

2017年は正確な数値がまだ出ていないかと思われますが、ウェブ上の情報を見る限り生産量は減少する見込みの様です。参照4によると減少の背景には雹の被害と収穫時期中の雨が影響があったとのことです。シャンパーニュ地域内では新芽の23%が被害にあったということですが、ワイン造りの北限と言われる地域での栽培の難しさがわかるうかがい知れる例かと思います。

話をリコール問題に戻します。
どんな問題があってリコールに至ったのかについては言及されていないのですが、これについて考えてみることにします。

参照4はComite Champagneneのウェブサイト内にあるボトリングと瓶内二次発酵についての解説です。

おさらいですが、シャンパーニュは規則上、二次発酵が行われた瓶に入った状態で販売されなければなりません。最初に詰められた瓶からワインを移して云々ということはルール違反です。
このとき使用される瓶は強度があるガラスからできていなければならず、ガス圧(5〜6気圧)に対する耐久性に関しては厳しい規格が設けられているとのことです。シャンパーニュの瓶は内圧に対してもそうですが、ジロパレットで動かされたり、二次発酵完了後に王冠を吹っ飛ばしたりする際にも割れてはいけないのです。

ここでもう一度参照1のニュース記事に戻ると、4パラグラフの冒頭に影響がある瓶を開栓して移し替えることに対する解決策が見つかったという、なんとも分かりにくい一文があります。わかりにく発言ですが、それでも移し替えれば直るのですから、今回の問題がブレットの様なワイン自体の品質に致命的な影響を与えるものではないことがわかります。となると問題は瓶でしょうか?コルクであれば回収したワインを移し替える必要はありまん。
ただし、1つ疑問が生じるかと思います。なぜシャンパーニュなのに問題のワインを回収して移し替えて良いのでしょうか?本来これはアウトなはずです。今回は特別に移し替えてもOKとなるのでしょうか?

おそらく4パラグラフの発言はこれらの規則上の制限を考慮した上で、なんらかの規則に違反しない解決策が見つかった、ということを言いたいのかと思います。
個人的には気になるため、さらなる情報が出てくることを望みます。


[Reference]
1.
Todd, S.(2017). Champagne hit by 5m-bottle recall, just-drinks.[online]. Available at https://www.just-drinks.com/[Accessed 3 Dec 2017].
2.
Comite Champagne. Les expeditions au depart de la Champagne. LES EXPEDITIONS DE VINS DE CHAMPAGNE EN 2016.[online]. Available at https://www.champagne.fr/[Accessed 3 Dec 2017]
3.
Champagne production on the decline for 2017, Vinexpo Newsroom.[online]. Available at http://www.vinexpo-newsroom.com/[Accessed 3 Dec 2017].
4.
Bottling and secondary fermentation, Comite Champagne.[online]. Available at https://www.champagne.fr/[Accesswed 3 Dec 2017].