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2018年8月26日日曜日

Côte Rôtie

Syrahから高級ワインが作られることで有名な産地です。北ローヌの中でもHermitageと並んで最も評価が高い産地のうちの一つです。

ブドウ畑は基本的に急斜面の上に設置されていてその斜面の勾配は最大で60°にもなります。山登りであれば避けて通りたいくらい急な斜面ですね。畑はローヌ川の右岸(基本的に川の流れる方向を向いて右側が右岸です)に沿って配置されており、川はこの辺りでは南西に蛇行しています。畑は概して南東向きの急斜面の上にあるためブドウの成熟を促すために必要な日射量を確保することができます。もう一つの斜面の利点は北西側が斜面によって守られているため北風からくる気候の影響を受けにいことです。つまりこの土地では栽培するのは大変そうですが、ブドウの品質を向上するためには大変好ましい環境に設けられていると言えます。難点としては斜面の勾配が急なためブドウは段々畑に植えられており機械化は制限されます。また棚田ではない場合には土が流出を避けるために常に畑の維持・管理を継続する必要があります。季節によっては強風が吹くためブドウの木は手作業で二本の支持棒に固定される必要があります。要するに北ローヌ全般にも言えることですが、この地域は大規模生産とは程遠い産地となっています。この背景のためか歴史的には常に盛んに作付けがされてきたわけではなく、最近の畑の増加は1970年以降に急に人気が高まったために起こったと考えて良さそうです。この人気上昇期に決定的な影響を与えた生産者がE. Guigal社です。1965年にLa Moulineという高品質なブドウがとれるとされていた古木の畑を取得し、その後にそこで収穫されたブドウだけを用いて高品質のワインの作りだしました。1969年のLa Moulineはもはや伝説扱いされるほどのワインになっています。ローヌにおいては伝統的に大樽で発酵・熟成を行うことが一般的だったのですが、La Moulineの場合は新樽を用いて42ヶ月も熟成されたワインでありこの点でも当時としては特異な存在でした。その後に1978年のビンテージからLa Landonne、さらに1985年にはLa Tarqueという二つの単一畑のブドウを用いたワインを作り出し、結果的にCôte-Rôtieの名声を高め、さらには栽培規模の拡大の立役者となりました。
毎回ですが、栽培の規模を確認すると以下の通りでした。

【栽培規模】
●栽培面積:308ha(2016年)
●ワイン生産量:12,606hl(2016年)
※全て赤ワインです。ViognierもSyrahにブレンドされ赤ワインとなります。
●収量:41hl/ha

価格が高騰しやすい要素が多い産地です。基本的に花崗岩(Granite)片岩(Schist)が多い土壌ですが、そのなかでも相対的に石灰質の土の比率が多い地区は土の色が明るくCôte Blondeと呼ばれ、反対にそうでない色が茶色に近い土壌の地区はCôte Bruneと呼ばれそれぞれ異なるスタイルのブドウが収穫されます。これらからできる性格が異なるワインをブレンドすることもありますし、白ワインであるVigonier種を混醸することでタンニンを抑えつつ芳香性を強調する試みも行われています。現在ではSyrah種とVigonier種の混醸はあまり行われなくなっていますが、この醸造方法は現在でも北ローヌで続いている独特の製法の一つです。


【参照】
1.
KEY FIGURES. Rhone-wines.com. [online] Available at http://www.rhone-wines.com
Accessed on 25 August 2018.

2.
Accessed on 26 August 2018.

2018年8月9日木曜日

ブルゴーニュ・ワインと香港の関係

香港がワインの国際市場においてかなりの存在感を持っていることは過去に書いた通りですが、この香港という地域がブルゴーニュ産のワインに与える影響についてのショッキングなニュースがありましたので、それについて書いてみます。

【ワイン市場における香港の影響力】
まずは香港がワインの世界市場においてどの程度の影響力を持っているか確認です。香港は世界のワイン輸出金額を基準にして考えた場合、2016年時点で6番目に大きな市場となります(詳細についてはこちらをご確認ください)。しかもその面積の小ささと裏腹に輸入金額はすでに日本より大きいのです。この背景にはお金持ちが多いというだけでなく、伝統的に中国やその他の東南アジア圏にワインが輸出される中継点として機能していることがあります。これだけでも存在感があるのですが、注目すべきはその成長率です。2012年と2016年と比較した場合の成長率が+74%と群を抜いて高いのです。中国本土も同じレベルの成長を続けており、これらの地域は特に高価格化が進むワインの国際市場の中でも次元が違う成長を遂げていると言えます。

【ブルゴーニュ・ワインの販売・輸出状況】
参照1を確認したところ、たまらない現実がそこにはございました。端的に言いますと、出荷量ベースでは2007年から2017年までにワインの合計生産数量は多少上下しますが、輸出金額を基準に考えると2009年以降に連続してプラス成長が続いています。その輸出用のブルゴーニュワインを購入しているのがアメリカ、イギリス、日本、カナダ、ベルギー、香港、スイス、中国などの国々です。2016年の通年のデータはこちらで確認した通りです。ちなみに前回のブルゴーニュ1を書いた際には、中華圏に販売される比率が相対的に小さいとさせて頂いておりました。この状況が急速に変わりつつあるというのが今回の本題です。当たり前といえばそうなのですが、個人的にはかなり驚きました。

【本題  ショッキングなニュース】
香港へのブルゴーニュ・ワインの輸出量がこれまで以上に伸びている事がわかってきました。2017年の実績値は数量ベースで前年比4.2%増加で、金額ベースでは17.8%の増加です。10%を超える成長というのは最近の不景気しか知らない我々のような世代にはよくわからない成長率なんですが。。特筆すべきは中華圏では伝統的に赤ワインを尊ぶ文化的な嗜好があったとされますが、少なくとも香港に関しては輸出量の半分を占めるほどになっています。さらに知名度が比較的低いMacon、Chalonnaise、Hautes Côtes de BeauneといったAOCにも人気が出つつあります。これらのAOCは割合お得感があるワインが見つかりやすかっただけに、もうこの辺りのワインも値上がりが避けられないかも?と思うと日本人として非常にショッキングであったのであります。ちなみに、日本の市場も楽観的な見方が多く、EUと日本の間で発効される見込みのEPAの影響でブルゴーニュからのワインの輸出は将来的に増加していく可能性は十分あります。ただ、香港ほどの成長を維持できるか、市場として同じ程度に魅力的でいられるかと考えるとなかなか難しそうです。それでも日本市場は輸出金額ベースで2017年に前年比5.8%ほど成長しており、世界で3番目の市場となっています。
それで、さらに衝撃的だったのが香港に輸出されるグラン・クリュの比率の高さとまたその成長力です。参照5によると2017年時点で香港に輸出される赤ワインの15%が特級クリュのワインであったそうな。それに対して日本は5%。それで、だれがこのグラン・クリュを購入しているのかというと、少なくともPerrot-Minotに限定すれば70%が個人の顧客であるとのことです。しかもそのうちの90%はグラン・クリュしか買わないとな。。すごいな香港は。個人宅のセラーにグランクリュが溢れているのか、と思うと非常に遥かな国に感じられます。ちなみにかつてはシンガポールが高級ワインの出荷先として有力だったようですが2008年以降の景気交代で消費が減退してしまったようです。
ワインは生産量が限られる上、世界中に市場があるため景気動向によってそれぞれの市場が有する影響力も移り変わっていくことが身にしみてわかるショッキングなニュースでありました。

【参照】
Accessed on 9 August 2018.

2.
Millar, R.(2018). Burgundy Exports go on Rising in 2017. The Drink Business. [online] Available at https://www.thedrinksbusiness.com
Accessed on 9 August 2018.

3.
Accessed on 9 August 2018.

4.
Accessed on 9 August 2018.

5.
Accessed on 9 August 2018.

2018年8月5日日曜日

発酵温度について2

半年ほど前にワインの発酵温度について書いたこと(こちら)がありました。前回はGewürztraminerの発酵温度に関して限定して思ういつき程度に書いたのですが、今回はもう少し対象範囲を広げて真面目に書いてみます。特に考えたいテーマは旧世界と新世界の場合の白ワインの発酵温度とその違いによって生じるワインの性格の変化についてです。

まず、Companion to Wineの関連項目を確認して旧世界と新世界では発酵のさせ方がだいぶ違うということを確認します。新世界における白ワインの発酵温度は12-17°Cが一般的であり、これによって果実味が強いバランスが取れた色の淡いワインが生み出されるとのことです。かつ、この12-17°Cの発酵温度はワイン作りを商業的に成り立たせるためにも大切です。というのは新世界では一般的に1年のうちに発酵槽を複数回使うことが多いため、1回の発酵は比較的短い期間で完了する必要があります。そのためこの12-17°Cというのは発酵がある程度速く進み、出来上がるワインの風味も好ましいものになる範囲であると考えられます。ちなみに、このままの温度で保管しても温度が低いためマロラクティック発酵には適温ではありません。もし必要な場合は別途温度をあげる作業が必要になります。これと対照的なのはブルゴーニュにおける白ワインの発酵方法です。ここでは木樽に果汁を入れた後、アルコール発酵が済んだ後もワインは樽の中で保管されます。そして翌年の春や遅い場合には初夏までにマロラクティック発酵が完了します。必然的にひとつの発酵槽は一年に1度しか使われません。そして高い確率でマロラクティック発酵が行われることになります。またここではアルコール発酵の発酵温度は新世界の場合より高くなる傾向があります。温度が高いといっても酵母が死滅するほど高くなるほど温度が上がることはあまりありません。というのはブルゴーニュで一般的な樽が収納できる容積はは228Lであり、新世界で一般的に使用される大型のステンレスタンクと比べると熱が放出される効率の指標となる液体の表面積と容積の比率が高いからです。そのためブルゴーニュの発酵方法を取る場合には特別に発酵温度を下げるような仕組みは必ずしも必要ではないのです。もう一つ発酵槽の材質について考えた場合、木樽は液体に対しては不透性ですが、気体に対しては(分子の大きや特性にもよると思われますが)透過性があります。ステンレスや内側に樹脂でコーティングを施したタンクはどちらに対しても基本的に不透性です。特に小型の木樽の場合はワインが空気に触れている表面積が大規模なタンクで発酵・保管した場合よりも大きくなります。ブルゴーニュ以外の全般的な話に戻りますが、Companion to Wineによると旧世界で一般的な発酵温度は18-20° C、もしくはそれ以下とのことです。要するに新世界と旧世界では発酵のさせ方が全く違うことがわかります。注意が必要なのは生産地域にかかわらず製造者の製造方針によって発酵温度は変わるということです。そのため、実際にワインをテイスティングした後にそのワインがどのように作られたかを確認する方が良いかと思います。

そもそも発酵に対するアプローチが新世界と旧世界で違うということが分かったところで発酵温度の違いによるワインの性質の変化について考えてみます。ここからは少し専門的な話になるかもしれません。まず白ワインの発酵温度は赤ワインに適用されるものより低くなります。これはもろみの温度を上げることによって果皮に存在する成分を抽出しやすくする、という作業が必要ないためです。白ワインの製造時には発酵中にもろみと果皮は接触していません。参照3によると赤ワインでは適切な温度は20-30°Cである一方で白ワインの場合は15°C以下が推奨されます。白ワインを製造する場合は、果皮から果汁が絞られた際に出てきた成分を保持することが求められます。以前ワインの香りの原因物質について書いた際に確認しましたが、これらの香りないしは味覚に影響を与える物質は揮発しやすいものが多いです。そのため発酵温度が高かったり、発酵中に放出される二酸化炭素やエタノールの量が多かったりするとどんどん揮発していきます。結果的にイチゴやバナナといった香りの構成成分とされている分子量の小さいエステルは発酵温度が低かった方がワインに保持されるため最終製品にそれに起因する特徴が発現しやすくなります。またもう一つ低温発酵の傾向としてあるのが好ましくない香り成文を発生させるバクテリアの働きを抑えられることです。特に赤ワインの場合に問題になりやすいようですが、30-40°Cに近ずくにつれて揮発性の脂肪酸やフェノールを作り出すと言われるアセトバクターが活動しやすくなります。また発酵温度が10-15°Cより高くなるとBrettanomycesと呼ばれる硫黄臭を作り出すバクテリアも活動できるようになります。ブルゴーニュでは肯定的な文脈で登場することが多いマロラクティック発酵に関しても、求められるワインのスタイルによっては好ましくありません。この現象は20°C以下の場合には抑えられるため、低温発酵の場合には理屈的にはこれが起こる可能性が低くなります。これらの酵母やバクテリアの活動に由来する香りが発生する可能性が比較的低いのが低温発酵で作られたワインの傾向的な特徴と言えます。結果的に製造されるワインは混じりっない果実の味わいが残る可能性が高いと言えます。ちなみにエステル類というのはたくさんの化学物質を含む総称ですが、特にワインの世界ではバナナ、花梨、バブルガム、パイナップル、ライチ、イチゴ、シナモンの香りを構成する物質であると考えられています。これ以上の話はその道の研究者の方にお任せして問題ないかと思います。


【参照】
1.
Robinson, J.(2015). Winemaking and temperature. In Oxford Companion to Wine, forth edition. Oxford : Oxford University Press.

2.
Robinson, J.(2015). Refrigeration. In Oxford Companion to Wine, forth edition. Oxford : Oxford University Press.

3.
Centinari, M. PH.D. An Introduction on Low Temperature Fermentation in Wine Production. PennState Extension. [online] Available at https://extension.psu.edu
Accessed on 5 August 2018.

4.
Robinson, J.(2015). Acetobacter. In Oxford Companion to Wine, forth edition. Oxford : Oxford University Press.

5.
Dekkera bruxellensis. Viticulture & Enology. UC Davis. [online] Available at http://wineserver.ucdavis.edu
Accessed on 5 August 2018.

6.
Seal, Laura.(2018). Tasting notes decoded: What is velvety wine?. Decanter. [online] Available at https://www.decanter.com/
Accessed on 5 August 2018

2018年8月3日金曜日

Domaine Thomas

WSETの勉強仲間からオススメされたニュージーランドのピノ・ノワールの生産者がDomaine Thomasだった。

生産者のWebサイト読みながら思ったことはを忘備録として書き残す。


Domaine Thomas
セントラルオタゴ(ニュージーランド)とジュブレシャンベルタン(フランス)の二箇所でワインを生産する家族所有のワイナリー。ぶどうの品種はピノ・ノワールのみ。


【セントラルオタゴ(Central Otago)】
位置情報
・緯度はおおよそ南緯45°
比較のために日本の地理について言えば、最北端の択捉島が北緯45°に位置する。
英語で緯度を表記するとき、例えば北緯45°に位置すると言う場合、"at a latitude 45° north"となる。" ° "の読み方はディグリー。ちなみに温度を言う場合は、厳密には℃(ディグリー セルシアス、もしくはディグリー センティグレード)や℉(ディグリー フェレンハイト)と言った方が誤解がない。
・冷涼な産地だが、ピノ・ノワールにはこの温度帯が適しているとされる。温暖な気候帯ではジャムの様な行きすぎた甘さが出るワインが出来てしまう可能性がある。

地形
・畑は周辺地域より高地に位置しており、その中でも別々の位置に4つの畑を所有している。全ての畑の個性は異なる。

栽培方法
・ピノ・ノワールの中でもクローンはPommardDijonを栽培している。
Pommardはワイン新興国でよく流通している。Dijonはブルゴーニュ由来で人気が高い。
対照的にPinot Droitと呼ばれるブドウの粒が大きく生産量が多いクローン群もあるおそらくサイトにPommardDijonのクローン名が明記されると言うことは、そう言ったクローンは使っていないということを強調したいと思われる。

製造工程
・製造上のコンセプトは出来る限りセントラル・オタゴの風景や気候を反映したワインを作ること。人の手による介在を出来る限り少なくする。
・果実味とバランスを出すためフランス産オーク樽を使用する。


【ジュヴレ・シャンベルタン(Gevrey Chambertin)】
位置情報:
・こちらも北緯は高く47°
セントラル・オタゴとは対照的に、こちらの生産地は何世紀にもわたってワインが生産され続けてきた伝統生産地域である。そのため過去に修道士たちによって蓄えられた細かい地域区分ごとのワインの個性についての膨大な情報がある。

地質:
・石灰石と粘土。岩と軟体生物の化石も多い。
水はけの良さと適度な保水効果があるとされる組み合わせ。
・長い年月の間に生じた土の侵食のため、畑の上部半分には他のAOC格付が与えられている畑から取得した土をくわえている。

栽培:
・樹齢は80100年のものが多い。一部には新しい木も植えている。

醸造:
100%除梗する。
・低音での浸漬を行う
・発酵後、18ヶ月間フランス産オーク樽で熟成する。新樽100%。
・フィルターによる濾過はしない。
コンセプトはセントラルオタゴとは同じで人による介在をできるだけ少なくすること。


【参照】
メーカーのWebサイト



2018年7月15日日曜日

ニュージーランド1 ー 統計から考えるニュージーランド ー

何度かに分けてニュージーランドについて書いていきたいと思います。

今回は初回です。他のワインの生産国と比較してニュージーランドの特色を探るため、今回は世界のワインにまつわる統計数字を使って考えてみます。

まず結構何度も登場している資料ですが、OIVの ”2017 World Vitiviniculture Situation” のデータを使ってニュージーランドの特徴を考えてみます。

【ニュージーランドのワイン生産・販売量について】
・2016年の生産量(予測値)を基準にした場合、ニュージーランドは14番目のワイン生産国である。2016年時点で3.1億リットル。
(→知名度が低いロシアやルーマニアよりも生産量は少ない。)
・国内でのワインの消費が少なく、上位30位に入っていない。
ある意味日本(消費量で15位)とは対照的な国と言える。
・輸出する比率が高く、2.1億リットルが輸出された。世界で11位。
・輸出は金額ベースで計算した場合、更に高くなり世界で7位。2016年の時点で10億ユーロとなる。

【ちょっとした考察】
ニュージーランドの特徴は高価格ワインを輸出している点である。比較のために2016年時点での有名生産国の輸出量とその金額、それから計算される平均単価を示します。


Country
Volume (million hl)
Value (billion Euros)
Unit price (Euros/L)
Spain
22.9
2.6
1.14
Italy
20.6
5.6
2.72
France
14.1
8.2
5.82
Chile
9.1
1.7
1.87
Australia
7.5
1.5
2.00
South Africa
4.3
0.6
1.40
USA
3.8
1.4
3.68
Germany
3.6
0.9
2.50
Portugal
2.8
0.7
2.50
Argentina
2.6
0.7
2.69
New Zealand
2.1
1.0
4.76
Moldova
1.2
-
-


いかがでしょうか?あの高級ワインの産地であるフランスについで圧倒的にワインの単価が高いことがわかります。
また、輸出量・金額ともに継続して成長が続いており末恐ろしい存在と考えて良いかと思います。

※この単価はおそらく海上運賃・航空運賃、保険料、また輸出先でかかる販売管理費などが加算されていないものだと思われます。そのため私たちがスーパーで目にするワインの単価とは意味合いが異なります。とはいってもニュージーランドのワインはスーパーの棚に並ぶことはやや珍しいかもしれませんが。


そして次は New Zealand Winegrowers の資料からニュージーランドのワイン生産の概要について調べてみます。


 【ニュージーランドワインの同行について】
・栽培面積は35,463ha(2015年時点)。
(時期が少し異なるため単純比較はできませんが、上のOIVのデータと比較するとこの数字が意味を持つ様になります。他の主要生産国と比較してこの数字も小さいことがわかります。比較のために引き合いに出しますが、フランスのRhone Valleyが2016年時点で70,365haです。)
この生産地域が縦に長細い国土に点在しています。南緯36から46度にまたがってワイン産地が存在しており、異なる気候の生産地域が点在することが想像できます。
・この栽培面積のうち、Marlboroughが圧倒的に割合が高く約66%を占めます。その他歴史が比較的古いHawke’s BayやGisborneがあります。またCentral Otagoも生産面積では国内3位です。
・栽培面積のうち、ソーヴィニョン・ブランが占める比率は約57%。つづいてピノ・ノワールやアロマティック品種が続きます。
・ワイン生産量は世界の1%以下。
・輸出の成長は数量ベース、金額ベースとも堅調。


ニュージーランドという国は国土が細長く伸びているため 、ワイン生産における内陸生産地と呼ばれる様な場所がないかと思います。どの生産地域でも海からの影響を受けることが特徴の1つです。New Zealand Wine はこれからくる夜に気温が下がることが高品質のワイン作りのポイントであると考えている様です。ブドウの木の栽培方法(特にCanopy Managementと呼ばれる剪定方法)やステンレスタンクをん持ちいた発酵の技術も重要な要素だと捉えている様ですが、それについては次回以降に書きたいと思います。

【参照】
2017 World Vitiviniculture Situation OIV Statistical Report on World Vitiviniculture. International Organisation of Vine and Wine. [online] Available at http://www.oiv.int
Accessed on 15 July 2018.

A land like no other. New Zealand Wine. [online] Available at https://www.nzwine.com/
Accessed on 15 July 2018.

Key Figures. Rhone Wines. [online] Available at http://www.rhone-wines.com
Accessed on 15 July 2018.


2018年7月10日火曜日

グルナッシュという品種について

グルナッシュは割と過小評価されがちな品種かと思います。そのため勉強する際にも少し抜け落ちがちな品種だったり為るのは自分にとってだけでしょうか。


早速、書いていきます。

【栽培関連】
品種の特徴として樹勢が強く適切に管理されなければ収量が多くなりがちです。この品種で有名な産地は共通して収穫量を低く傾向があります。適度に収量が制限された場合には色が濃くタンニンも多い複雑さに富むワインを産むとされます。熟成するためには温暖な気候が必要であるため有名産地は温暖な地域に位置することが多いです。グルナッシュに限ったことではないのですが樹齢が古い木から収穫されるブドウからは高品質なワインができるとされます。Jancisによるとこの品種からできるワインに共通する要素は甘やかな完熟した果実味だとのことです。渇水には比較的強く、また適度に水が限られた気候で良い結果を出す品種であるようです。この点については以下で更に書きます。Bush vineと呼ばれる株仕立てに特別な適性がある品種のように思われます。
※Grenacheとは別の品種であるAlicante Bouchetについては参照2に要点がまとめられています。

この品種から高級ワインが作られる最も有名な産地は南ローヌのChaâteauneuf du Papeとスペイン北東部のPrioratです。前者については年間の降水量が680mm程度で、そのほとんどが冬に降るとされるため少なくともブドウの成長期の間は乾燥した地域と言えます。また日照量も多い土地です。また畑に散りばめられたGaletと呼ばれる小石は日中に熱を蓄え、それを気温が下がる夜間に放出することでブドウの熟成を促進すると言われています。後者でもこれは同じで降水量はここでも少なく、光を反射するマイカと呼ばれる鉱石を含むとされるスレート土壌のお陰でブドウの熟成が進むとされます。ただしこの二者間ではブレンドの相手方の品種が異なります。PrioratではCariñena
主要なブレンド品種です。共通して言えることはグルナッシュが適切に熟すためには温暖な気候が必要だということです。新世界のなかではオーストラリアでもこの品種は成功していると言えます。オーストラリアでは広大な国土の中に様々な気象条件のブドウ生産地域が存在しますが、高品質のグルナッシュを産出するのはここでも温暖な地域です。Barossa ValleyやMclaren Valeが最も有名です。それぞれ成育期間中に降る降水量は160mmと180-200mmでありかなり限られています。Barossa Valleyは世界で最も樹齢が古いとされるグルナッシュが未だにワインの製造のために現役で使用されていることで有名です。

【醸造関連】
グルナッシュはGSMと呼ばれるブレンドの主役と言っても良い品種です。GSMはグルナッシュ(Grenache)、シラー(Syrah)、ムールヴェードル(Mourvedre)のことです。これらの個性や熟し方が異なる品種をブレンドすることによってワインに複雑性を持たせることがこのブレンドの狙いであるように思われる。このブレンドの起源となっているのが南ローヌのAOC Châteauneuf-du-Papeです。その中でもひときわ名前が知られている生産者としてChâteau de Beaucastelがあります。このワイナリーは世界のワイン造りに重要な影響を与えたと考えて問題ないかと思いますので、少しだけ突っ込んで書きます。ここでは上記の3種類に加え、AOCで使用が認められている合計13品種をブレンドに使用します。スペインでは上記の通りCariñenaとブレンドされるため、このワインはGSMとはスタイルがやや異なるワインとなります。オーストラリアでは、個人的には割と珍しい様に思えるのですが、この品種を使って単一品種のワインを作るケースも増えています。
除梗についての話になりますが、現行のChâteau de Beaucastelは100%の梗を取り除いた状態で発酵させてワインを作ります(2015年はシラーの梗を残した模様です)。一方でオーストラリアにおいては除梗を行わず、そのまま発酵後まで果汁と接触させるケースがあります。梗を果汁と接触させることにより梗に含まれるタンニン等の成分がワインに溶け出すとされ、結果的にワインの骨格が改善されて味わいの複雑性も増すと言われる場合もあります。オーストラリアの狙いもこのタンニンからくる骨格の強化と、さらには抽出される香り成分の増強です。一方で全ぼう発酵の場合にはワインの中にある酸量が減り、またpHが上がる傾向にあることも指摘されます。要するにこの点でもかなりワインの性格が異なってくることが考えられるわけです。このへんのところは実際にBeaucastelのワインを飲み比べて見なければわからない話なのですが。。。

【参照】
1.
Grenache. Jancisrobioson.com. [online] Available at https://www.jancisrobinson.com
Accessed on 9 July 2018.

2.
Grenacha Tintorera(es) / Alicante Bouchet. Vine to Wine Circle. [online] Available at http://www.vinetowinecircle.com
Accessed on 9 July 2018.

3.
Red Grenache. Rhone-wine.com. [online] Available at http://www.rhone-wines.com
Accessed on 9 July 2018.

4.
Terroir at Beaucastel. Chateau de Beaucastel. [online] Available at http://www.beaucastel.com
Accessed on 10 July 2018.

5.
All about Chateauneuf du Pape Guide Best Wine Character Style History. The Wine Cellar Insider. [online] Available at https://www.thewinecellarinsider.com
Accessed on 10 July 2018.

6.
Priorat. Decanter. [online] Available at https://www.decanter.com
Accessed on 10 July 2018. 

7.
Hudin, M.(2018). Priorat profile. Decanter. [online] Available at https://www.decanter.com
Accessed on 10 July 2018.

8.
Accessed on 10 July 2018.

9.
Barossa Valley. Wine Australia. [online] Available at https://www.wineaustralia.com
Accessed on 10 July 2018.

10.
McLaren Vale. Wine Australia. [online] Available at https://www.wineaustralia.com
Accessed on 10 July 2018.

11.
Robinson, J.(2015). Destemming. In Oxford Companion to Wine, forth edition. Oxford : Oxford University Press.

12.
Theron, C.(2015). Whole bunch fermentation for red wines. Wine Land. [online] Available at http://www.wineland.co.za
Accessed on 10 July 2018.

2018年7月8日日曜日

オーストラリアにおけるグルナッシュについて

グルナッシュは南ローヌのワインに多用されることで有名な品種だが、オーストラリアでも成功を収めている品種です。

今回はオーストラリアにおけるグルナッシュの個性について書いてみます。

【品種の個性】
この品種は一般的に適度なレベルの水不足にさらされなければ、また適切な収量制限がされなければ、ワインはタンニンや色素が少なくなりやすいと言われる。温暖な気候の産地で最も良い結果を生みやすく、適切に成熟させるためには成育期間が長い方がいい。結果的に糖度と度数は高くなる傾向がある。
オーストラリアでの有名産地は収量で考えれば断トツでリバーランドが、古木を利用した高品質なワインを産するとして有名な産地はマクラーレン・ヴェールやバロッサ・ヴァレーなどがある。幹が丈夫で機械による収穫は向かない一方で、ゴブレット型の仕立てには適性がある。渇水、高温や風にさらされる環境下でも比較的育ちやすい品種とされる。この品種の性質が南オーストラリアの気候と合っていたことが成功している一因かと思われる。

【歴史】
オーストラリアには19世紀前半に苗木が持ち込まれたためその歴史は長い。その点では意外だが、スペインのリオハよりも歴史が古いことになる。20世紀後半まではむしろ安定して高い収量が見込める品種として扱われていたため、高品質な品種としては認識されていなかった。1960年代までは通常のワインよりも酒精強化ワインの製造が盛んだったこともあり必然的に大規模生産されたこの品種のブドウもこの目的のために使われた。冷涼気候の産地が台頭したことと温暖な産地でも他の品種に押されたことにより栽培面積は長らく減少傾向が続いている。2017年の時点ではオーストラリアの葡萄畑全体の1%程度でしか植えられていない。頻繁に耳にする割にはかなり珍しい品種と言える。
ちなみにワインとして輸出される割合も年々減少しており、さらに2017年では輸出先は中国、イギリス、米国、カナダ等が占めており日本への輸出は相対的に少ない。

【ワインのスタイル】
単独としてもブレンドの構成要員としても使用される品種であって、これによってスタイルは異なる。また、収量制限や渇水から生じる適度な負荷、それに木の樹齢は品質を左右しうる重要な要因である。Goodeによれば、この品種は他の黒ブドウ品種と違い色が浅く洗練されたスタイルのワインを生むとされている。そのため、カベルネ・ソーヴィニョンやシラーズといった更に強烈な果実味を持つワインを生む品種とはできるワインに明確なスタイルの違いが生じる。全房を使用することにより荒々しい成分の抽出を避け、過剰なオークの影響を避けるため小樽や大樽を使用し熟成したスタイルが有効とのこと。
特にマクラーレン・ヴェールやバロッサ・ヴァレーといった地域ではGSMと呼ばれるブレントで作られることが多い。これはグルナッシュのほかシラーズとマタロ(ムルヴェードル)を使用したブレンドを指す。
グルナッシュに限ったことではないが、バロッサ・ヴァレーでできるワインに関しては古木の果実から作られたワインのために使われる特別な表記用語がある。詳しくは参照4を確認して下さい。この樹齢という概念もオーストラリアでは非常に重要な要素であると思います。1980年代から古木が抜かれるという悲劇が起きたわけですが、今でも古いものでは125年も樹齢を重ねだブドウの木が商業的にワインの製造のために使われています。ここまで古いブドウの木は世界的にも珍しく、バロッサ・バレーのワインの名声を高める所以の一つである。特にCirillo Estateの樹齢125年以上の木から作られる単一のグルナッシュはグルナッシュ✖️古木のスタイルの1つの最骨頂かと思う。

【参照】
1. 
Robinson, J.(2015). Grenache Noir. In Oxford Companion to Wine, forth edition. Oxford : Oxford University Press.

2. 
Accessed on 8 July 2018. 

3.
Variety snapshot 2017 Grenache. Wine Australia. [online] Available at https://www.wineaustralia.com
Accessed on 8 July 2018.

4.
Barossa Old Vine Charter. Barossa Australia. [online] Available at https://www.barossa.com
Accessed on 8 July 2018.

5.
Accessed on 8 July 2018.

6.
Jenkins, L.(2015). The Proust Q&A Marco Cirillo. The drink Business. [online] Available at https://www.thedrinksbusiness.com
Accessed on 8 July 2018.

2018年7月1日日曜日

オーストラリアの主要産地の気候の比較

以下、オーストラリアの主要産地の気候についてのデータです。



Vineyard area
(ha)
Altitude
(m)
Growing season rainfall(mm)
Mean temperature(Jan, °C)
HDD
Adelaide hills
3052
400-500
280-320
19.1
1270
Barossa aValley
11370
250-370
160
21.4
1710
Canberra District
253
500-800
420
20.2
1410
Clare Valley
4289
300-500
250
21.9
1770
Coonawarra
4960
50
260
19.6
1430
Granite Belt
-
810
279
-
-
Heathcote
-
160-320
279
-
-
Hunter
2324
75
500
22.3
2170
Langhorne Creek
-
30
140
-
-
Margaret River
4875
40-90
275
20.4
1690
McLaren Vale
6210
50-250
180-200
21.7
1910
Marnington Peninsula
792
25-250
320-390
19.4
1570
Riverland
-
20
135
-
-
Rutherglen
411
170
310
22.3
1770
Tasmania
1505
0-80
350
16.8
1013
Yarra Valley
2150
50-350
400-550
18.7
1352

データはなんでもそうですが、賢く理解されなければなりません。
ここでの平均気温は1月のものです。
平均気温もHDDも気候に関する1つの指標にしか過ぎません。
日較差も風・雲の影響もこのデータには直接的には出てきません。
このこの類の情報については個別の地域の情報を確認する必要があります。

【参照】
Discover Australian Wine Regions and Varieties. Wine Australia for Australian Wine. [online] Availablea at https://www.wineaustralia.com/
Accessed on 1 July 2018.