2017年12月3日日曜日

シャンパーニュワインのリコールについて

12月1日付のJust Drinkの記事で以下の様な報道がありました。
シャンパーニュに関して大規模なリコール問題が発生したとのこと。
そのニュースが参照1です。

参照1から要点を取ると、
1. ランスにある瓶詰め工場で製造された5百万本のシャンパーニュがリコール対象になった。
2. リコール対象になった5百万本は全てサプライチェーンの段階で回収される可能性が高い。
3. 完了するのには時間がかかるものの、対象のワインを移し替えることなどにより問題を解決できる。

問題が発生したワインの量の規模を考えてみます。2017年の販売量が不明なため、2016年の販売量と比較して考えるとします。2016年の販売量は参照2によれば3億610万本です。生産年が違いますが、5百万本は2016年の販売量を基に計算すると全体の約1.6%になります。

2017年は正確な数値がまだ出ていないかと思われますが、ウェブ上の情報を見る限り生産量は減少する見込みの様です。参照4によると減少の背景には雹の被害と収穫時期中の雨が影響があったとのことです。シャンパーニュ地域内では新芽の23%が被害にあったということですが、ワイン造りの北限と言われる地域での栽培の難しさがわかるうかがい知れる例かと思います。

話をリコール問題に戻します。
どんな問題があってリコールに至ったのかについては言及されていないのですが、これについて考えてみることにします。

参照4はComite Champagneneのウェブサイト内にあるボトリングと瓶内二次発酵についての解説です。

おさらいですが、シャンパーニュは規則上、二次発酵が行われた瓶に入った状態で販売されなければなりません。最初に詰められた瓶からワインを移して云々ということはルール違反です。
このとき使用される瓶は強度があるガラスからできていなければならず、ガス圧(5〜6気圧)に対する耐久性に関しては厳しい規格が設けられているとのことです。シャンパーニュの瓶は内圧に対してもそうですが、ジロパレットで動かされたり、二次発酵完了後に王冠を吹っ飛ばしたりする際にも割れてはいけないのです。

ここでもう一度参照1のニュース記事に戻ると、4パラグラフの冒頭に影響がある瓶を開栓して移し替えることに対する解決策が見つかったという、なんとも分かりにくい一文があります。わかりにく発言ですが、それでも移し替えれば直るのですから、今回の問題がブレットの様なワイン自体の品質に致命的な影響を与えるものではないことがわかります。となると問題は瓶でしょうか?コルクであれば回収したワインを移し替える必要はありまん。
ただし、1つ疑問が生じるかと思います。なぜシャンパーニュなのに問題のワインを回収して移し替えて良いのでしょうか?本来これはアウトなはずです。今回は特別に移し替えてもOKとなるのでしょうか?

おそらく4パラグラフの発言はこれらの規則上の制限を考慮した上で、なんらかの規則に違反しない解決策が見つかった、ということを言いたいのかと思います。
個人的には気になるため、さらなる情報が出てくることを望みます。


[Reference]
1.
Todd, S.(2017). Champagne hit by 5m-bottle recall, just-drinks.[online]. Available at https://www.just-drinks.com/[Accessed 3 Dec 2017].
2.
Comite Champagne. Les expeditions au depart de la Champagne. LES EXPEDITIONS DE VINS DE CHAMPAGNE EN 2016.[online]. Available at https://www.champagne.fr/[Accessed 3 Dec 2017]
3.
Champagne production on the decline for 2017, Vinexpo Newsroom.[online]. Available at http://www.vinexpo-newsroom.com/[Accessed 3 Dec 2017].
4.
Bottling and secondary fermentation, Comite Champagne.[online]. Available at https://www.champagne.fr/[Accesswed 3 Dec 2017].

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