2017年12月29日金曜日

シャンパーニュに関するヴィンテージについて

ヴィンテージ・ワインとは、ある特定の年に収穫されたぶどうを使って製造されたワインのことを言います。

細かく言えば、生産地域の法規によっては若干は他の年の果汁が入っても良いケースがあります。今回はそれについては深く取り上げません。

シャンパーニュについてもヴィンテージという言葉が意味することは同じです。ただし、シャンパーニュに関しては特有の事情があり、若干意味合いが異なるケースがあります。


【ヴィンテージとノン・ヴィンテージ どちらが多数派なのか?】
もしお時間があれば、酒屋さんに置いてあるワインとシャンパーニュのラベルを観察してみて下さい。
おそらく、通常のワイン(スティルワイン)は収穫年の表記があるものが多いと思います。

一方でシャンパーニュはどうでしょうか?

おそらく違うかと思います。よっぽど高価格帯のお店でなければ、記載がないノン・ヴィンテージ(N.V))が多数派であるはずです。

ポートやマデイラ等の一部の酒精強化と似ているのですが、通常のスティルワインと比較するとシャンパーニュは単一の年に収穫されたぶどうからワインを作ることが難しいのです。


今日は短いですが、この辺で一度おしまいに致します。
シャンパーニュについては何度かに分けて、今後も書いてまいります。

Tra la Terra e il cielo Barbera d’Asti Superiore 2013

【外観】
深いガーネット。グラスの縁はレンガ色になっており、熟成されたワインである印象を受ける。

【香り】
エレガントで芳香性が強い。それでいて様々な香りの要素があり、全体として複雑性に富むワインになっている。やや第三アロマが先行しており、ジビエ、タバコ、肉、血、スパイス入りの燻製ハム。果実としてはダークチェリーやプルーン。その他に深入りのトラジャコーヒー、インク、ヴァニラそして微かな清涼感につながるメンソールのニュアンスもある。香りを構成している要素が多く、複雑である。
外観と同じく、酸素とある程度接触している状態での熟成が長いような印象を受ける。

【味わい】
オフドライ。なんだこのスタイルは!知らない!
度数も高い。温暖地域で栽培し、なおかつ収量制限を課したり選別を厳しくしているような印象を受ける。タンニンは量的には少ないが持続性があるがある。性質としては柔らかい。全体として複雑性に富む。酸はやや低い。
複雑性に富む。全体としてのまとまりがあり、バランスが取れている。酸は相対的に少ない様に感じるが(おそらく甘さと高い度数に起因する)、全体の印象は良い。

【テクニカル】
●度数:14.5%
●収穫:収量は5hl/ha。手摘みで行なう。
●発酵:28℃でステンレスタンク内で行なう。
●熟成:225lのバリックで15-20ヶ月間熟成する。瓶内熟成は6ヶ月。

【事後考察】
品種のバルベーラの個性ですが、酸が高く、タンニンは少なめになることが多いとされる品種です。かつてはネッビオーロの陰に隠れて目立たない存在でしたが、最近はフレンチオークを使用した長期熟成等により品質が向上していることで知られています。
まさに今回のワインはそういうスタイルのワインだったわけでした。

【参照】
1. メーカーサイト
http://www.tenutalameridiana.com/
2. Robinson, J. Barbera. Learn about wine. [online] Available at https://www.jancisrobinson.com/. Accessed 29 Dec 2017.
3.

2017年12月25日月曜日

Klein Constantia Riesling 2015

【外観】
中程度のレモン色。透明性が高い。
泡が顕著にある。

【香り】
やや強い芳香性がある。甘やかな要素としては青リンゴ、蜜蝋。ミネラル感のものとしては濡れたウール、ペトロ香が取れる。微かにスペアミントのような清涼感があるハーブのニュアンスもある。相対的に果実の香りは多くない。

【味わい】
ボーンドライ。度数が非常に高く、ドイツのリースリングにしては高すぎるように感じられる(なんと13.5%もあった!)。それでいて酸はしっかり残っており冷涼生産地を連想する。度数も酸も同程度に高いため、アンバランスな印象はない。後味は強い酸とグレープフルーツの皮を噛んだような苦味が微かに残る。

【感想】
南アのワインは比較的酸が弱くなる傾向がある印象だったので、リースリングとは言えどもこんなに酸が残っているとは思っていなかった。裏ラベルの情報によると生産された地域が南アの中でも冷涼なCape Peninsulaであるのと、2015年は特に冷涼なビンテージだったとのことです。
後味のグレープフルーツのような苦味は何から生じるのか?
発酵前浸漬の期間が長かったり、プレスの圧がきつかったり、発酵温度が高いと苦味の原因になる成分が多くに抽出されそうです。このワインの苦味が悪いという訳ではなく、それがこのリースリングの個性になっていると思います。石を舐めたようなミネラル感も感じられます。

2017年12月24日日曜日

Trimbach Gewurztraminer Selection de Grains Nobles 2001

【外観】
透明な淡い琥珀色。
粘性は高い。

【香り】
香りは非常に強い。蜂蜜、蜜蝋、マーマレードジャムといった貴腐菌由来の要素が明確に表れている。果実の要素としては熟れた花梨やパイナップル。そのあとに微かに爽やかなオレンジピールのような苦味も感じられる。清涼感があり微かにラベンダーのようなハーブのニュアンスもある。

【味わい】
甘口であるが酸とのバランスが取れており、甘ったるくない。アルコールも同様にやや高いが、他の要素との調和が取れており目立っては感じられなかった。フルボディーでパンチがある果実味が支配的ですが、複雑性もあります。

【考察】
ゲベルツトラミネールは糖度が上がりやすく酸が低くなりやすい品種と言われることが多いのです。それでもアルザスの気候ではそういったスタイルに仕上がらないことも多々あります。また醸造過程での発酵温度がもたらす影響も少なからずあり、それが他の地域のゲベルツトラミネールとの違いの原因になっていると指摘されることもあります。

ゲベルツトラミネールの特徴的な香りの要素としてライチやジンジャーといったものが挙げられます。これらはトロピカルフルーツやスパイシーさを意味する言葉だと思います。今回のワインについてはそこまでの要素は感じられなかったかなと思うのですが、これについては今後別の機会に書いてみます。



2017年12月23日土曜日

ワインの表現に使われる花の香りについて


ワインの香りや味わいを表現するということは非常に難しいことだと思います。

どのような言い回しをすれば自然に伝わるのか?
どのような言葉(花、植物、果実、食べ物、発酵物、化学製品等)を使えば伝わりやすいか?

このあたりの悩みはワインを表現する方にとって、避けることができない悩みかと思います。

「これさえやればうまく表現できるようになる」と言える特効薬はないかと思いますが、さまざまな物の香りを知ることは香りの表現力を向上させるための助けになるかと思います。

今回はその中でも花について書いてみます。WSETでは加点対象にならない花もあるかもしれませんので、そのあたりはご自身でご検討をお願い致します。


【白い・黄色い花】
ユリ(lily)、スイカズラ(honeysuckle)、オレンジの花(orange blossom)、ジャスミン(jasmin)、アカシア(acasia)、カモミール(camomile)マリーゴールド(marigold)、キンモクセイ(osmanthus)、菊(crysanthemum)

【赤い花】
バラ(rose)、ゼラニウム(geranium)、カーネーション(carnation)、ハイビスカス(hybiscus)、コスモス(cosmos)

【青・紫の花】
スミレ(violet)、イリス(iris)、ラベンダー(lavender)、紫陽花(hydrangea)


数を比較してみると白・黄の花の数が圧倒的に多いことがわかりますね。

是非、お気に入りの伝わりやすい単語を見つけてみてください。

マスカット ベリーA樽熟成 2015年 熊本ワイン - Muscat Bailey A Barrel aged 2015, Kumamoto Wine

【外観】
やや淡いルビー色。

【香り】
香りの強弱について言えば大人しいように感じるが、芯が通っていて優雅。摘みたての赤い花(スミレ、バラ、イリス)、フレッシュハーブ(シソ)、同じくフレッシュな果実(サワーチェリー、ラズベリー)などの香りが取れる。非常にバランスが取れていて、オーク由来の要素は自然に全体の中で溶け込んでいる。たくさんのフレッシュな花・ハーブの要素があるがそれらが調和して融合しているのがすごい。

【味わい】
辛口。味わいもバランスが取れていて出すぎた要素がなく、全体としてまとまっている。酸はやや強い。タンニンはやや低いが、これもまた他の要素とバランスが取れている。お吸い物のような程よい旨味がある。

【感想】
飲んだ瞬間に今まで飲んだことがないスタイルのワインだと感じた。方向性としては冷涼地方のピノ・ノワールとJura地方のPoulsardの中間のようなスタイルかと感じた。驚いたのはマスカットベリーAの独特の甘やかな香りがあまり強くなく、かつ他の要素とバランスよく調和していることでした。
シャルドネから作られる菊鹿シリーズが有名かと思いますが、個人的にはこのシリーズにも期待しています。正直に言えば、日本のワインに対する価値観を変えさせられたワインになりました。フランスのワインのコピーでは全くなく、マスカットベリーAの個性を残しつつここまで完成度が高いワインができるということを思い知らされました。



[Appearance]
The wine is slightly pale garnet.

[Aroma]
If I say about the strength of the aromas found on this wine, it is not that much and is just modest. However the stylistic uniqueness of this wine inclined me to take it rather elegant.
Primary aromas found include freshly-picked red flowers(violet, iris), fresh herbs(perilla), fresh red fruits(sour cherry, raspberry). There are hints of rose and vanilla which both seemingly have derived from contact or aging with oak. Above said aroma characters are well-integrated giving the impression that the wine is very balanced. Again what I appreciate is that there are many aromatic components such as fresh flowers, herbs and other and at the same time these are well-integrated.

[General impression]
Soon after swallowing the very first sip of the wine, I realized that I was facing to a type of wine that I have not encountered many times before. I personaly found some similarities to Pinot Noir made in cold regions or Poulsard in Jura, or a style half way between them might be the best word of substitute to represent this wine. Once again, I was honestly surprised at both less noticeable scents that are usually linked to Muscat Bailey A and the integration between varietal aromas and other aromatic characters.
I think Kikuka series made from Chardonnay are more well-known however I expect a good success of this wine in future. To be really honest, this is the wine that changed my general perception about Japanese wine made from Muscat Bailey A. Apart from being a copy of French wine, this high quality of the wine indicated the possibility that with varietal uniqueness of Muscat Bailey A, great wine may be made in Japan too.

【参照】
1. 熊本ワイン ウェブサイト

2017年12月21日木曜日

Mercurey Blanc Les Obus 2014 Domaine de la Monette

【外観】
やや濃ゆいレモン色。粘土は中程度。
色の濃さはぶどうの完熟度が高いか、もしくは樽での発酵・熟成が影響した可能性がある。
照明で照らすと液中に細かい結晶があるように見える。

【香り】
香りが強い。熟したマンダリン・オレンジのような純粋な果実の中に少しマーマレードのような複雑みも感じられる。ハーブや花としてはジャーマン・カモマイル、マリーゴールドとこちらもシャープというよりは丸みが有りつつも芳香性が強い花が連想される。ビスケットを焼いたような香ばしさやバニラのニュアンスもあり、いろいろな方向性の要素がある。熟成のニュアンスはまだ顕著ではない。やや度数があるように感じる。

【味わい】
辛口。度数はやや高いか中程度。酸味はまろやかだが量的には中程度からやや強い。酸味がありつつ、度数も低くない。ぶどうが栽培された環境としては日中は日当たりがよく気温が上がるものの、夜にはしっかり気温が下がるような気候かと思われる。

【テクニカル】
●品種:シャルドネ
●度数:13%
●熟成:500lの木樽で行う。

MercureyはCote d’Or南方にあるCote Chalonnaise地区に属しますが、赤ワインの方が有名かと思います。やや土地が隆起しているため、より北にあるとCote d’Orよりは温暖であるにしてもCote Chalonnaiseの中では気温が上がらない場所です。結果的にワインにはフレッシュさが残りやすくなります。夏が暑く秋に乾燥しているため、収穫まで の期間が長くなります。このため甘味、もしくは度数が高くなりやすい可能性はあるかと思います。
またこのワインの場はLieux-diesと呼ばれる優良地域で栽培されたぶどうから作られています。

2017年12月20日水曜日

AOC Cote de Jura Poulsard Domaine Baud 2012

【外観】
明らかに淡いガーネット。色素が明らかに少ない様子。

【香り】
最初はやや不思議な酢酸のような香りが先だったものの、時間が経つと落ち着いて来て性格が変わった。サンジョベーゼのような微かな埃っぽさ。摘んだ直後のシソの葉やハイビスカスのようなやや植物っぽいハーブ香。白胡椒とやや若干の甘みを伴ったスパイスのニュアンス(生姜、シナモン)。度数が高いワインが入ったグラスに鼻を近づけた際のようなアルコール感を感じる。

【味わい】
アルコールはやや強い(後から確認した結果、大きく間違っておりました)。
酸は中程度。タンニンは少ないが、時間が経つにつれて少しだけ存在感が出てくる。かつ熟した丸みがあるタンニンではない。味わい派手すぎず、微かなエレガントさを追求するスタイルかと思われる。果物で言えば、甘過ぎないさくらんぼが近いが、そもそも果実味自体は強くない。逆に和食で言えば出汁のような旨味がすごく強い。

【テクニカル】
品種:Paulsard
収穫年:2012年
度数:`12.5%

【考察】
品種:Poulsardtという品種はJuraの典型的な赤ワインの品種ですが、皮が薄い。概してワインの色は淡くなる。また、果皮とワインの接触期間が短ければ白ワインの原料としても使われる。色が薄い赤ワインになるわけですよね。
なお香りは概ね微かなものになる傾向がある。
Terra Vitis;約900の生産者が加盟する団体で、その目的は有機栽培と伝統的な栽培の中間に位置するような包括的なワイン製造を促進することとのことです。おそらく栽培にも製造にも細心の注意を払っている生産者であるということでしょう。

2011年のものも飲んだことがあるのですが、その時と同じく出汁のようなワインには感じられることが少ない要素を感じました。これがどういう背景から生じるのか?また香りを取った時点でアルコールが高く感じたのはどうしてだったのか?この辺りの解明は今後の課題です。

Noto Rosso Marabina 2014

【外観】
やや淡いルビー色。透明性がある。


【香り】
ややアルコールっぽく感じる。赤ワインからは嗅いだことがない程シュールリーに要素がある(ビスケット、発酵前のパン)。摘みたてのハーブや赤い花(スミレ、ハイビスカス、ローズ)が最初に感じられて、そのあとに控えめながら赤系果実(さくらんぼ、熟しきってないイチゴ)が出てくる。冷涼な気候を連想する。樽からくる要素(バニラ)は強くない。


【味わい】
辛口。酸味はしっかりと感じられる。タンニンは中程度で、こちらも存在感があり硬さもまだ感じられる。一口めを飲むときに喉元が暑く感じられ、度数はやや高い。ただし酸がしっかりしているためボディーは中程度のように感じる。フレッシュな赤い花、赤系果実の要素が強い。微かな植物っぽさがあり、そのためむしろ新鮮さが強調される。若干のスパイス(ブラックペッパー、クローブ)もあるが相対的には存在感は強くない。


【テクニカル】
●度数:14.5%
●収穫年:2014年
●土壌:主に石灰質土壌。
●畑の向き:北東、西、北。
●標高:海抜44〜70m。
●熟成:フランス産の大樽(60hl)でヶ月間行う。


【参考情報】
●メーカーサイト:http://www.marabino.it
●DOC Notoについて:https://italianwinecentral.com/denomination/noto-doc/


【考察】
●外観について:
やや淡いルビー色。Nero d’Avolaは基本的には色が濃くなる傾向が強いと言われることが多いです。
●度数について:
14.5%という数字は飲んだ印象からすると高く感じた。おそらく類まれな高い酸味があったため、度数が正確に取れなかった。結果的にボディーも軽く感じた。
ただし、メーカーサイトによると夏はシチリア島の中でも最も気温が上がる場所の1つで作られているのとことで、度数が上がりやすい環境ではあるようです。
●酸味について:
Nero d’Avolaという品種は酸味よりは熟した甘味を伴う赤系果実の要素が出やすい品種かと思います。その割にはこのワインの酸味は高く、予想を裏切られる結果となりました。
●地理的条件について:
夏はあつい地方ですが海に近くまた畑の向きも関係し、そこからできるワインの印象を変えていると思われる。海に近い場合、海風にさらされる可能性が高く、気温は和らげられる傾向にあります。また畑の向きは北半球では北方面を向いている場合、果実の完熟度を抑える方向に働きます。この辺がこのワインの特徴を決定する要因としてあるのではないかと思います。
●製造全般について:
ビオロジックです。これについては難しい議題なので、また後ほど扱うことにします。

ブラインドテイスティングを終えてみて、面白いワインだと感じました。シチリアという印象はあまり強くないですが個性的であり、そもそもエレガントな印象が強いワインであるため好印象でした。

2017年12月16日土曜日

2015年のPouilly-Fumeについて

先日のブラインド・テイスティングの際にPouilly-Fumeのソーヴィニョン・ブランをニュージーランドと間違えてしまいました。敗因として全般的な知識不足があることは明白ですが、特に2015年のヴィンテージへの知識の無さもあったのではないか、と思うに至り今回2015年のPouilly-Fumeについて書いてみることにしました。

Loire地方は全般的に生育期間中に暖かく乾燥した期間が長く続いたため、良好なヴィンテージとされることが多い様です。

まず参照1のWine Spectatornの記事の要点ですが、


【要点】
1. Loire地域全体において夏に暑く乾燥した気候が続いたため、域内の多くの場所で完熟度が高い健全なぶどうが生産された。
2. Chinonのカベルネ・フランやVouvrayのChenin Blancは好調。
3. 域内全体で暖かかったため、生産者の中には例年より早く収穫する必要がある場合もあった。

Pouilly-FumeyやSancerreに関して言えば、
3. 水不足や開花が上手く行かなかった影響から収量が減った。


要するに、やはり暖かかった様ですね。


ついでに、地理的にはPouilly-Fumeに近いCote d’Orはどうだったのかというと、参照2の通りとなります。

【要点】
1. 冬という冬の時期がなかった。
2. 全体的に夏は暑く6月には気温が40℃を超える日も何日かあった。
3. 春もぶどうの木にとってストレスが少ないまま終わり、年間を通して直近過去ではあまり例がない年になった。
4. MaconnaisやBeaujolaisでは収穫後も雨が少なく、ぶどうの木にとっては厳しいヴィンテージとなった。


ここまでの情報から2015年はPouilly-Fumeでも暑かった可能性があることは良いとして、これがテイスティングした際の印象にどんな影響を与えるのか?という点についてはまた別途考えてみる必要があると思います。


[Reference]
1. 
Sciaretta, G.(2015). Wine Harvest 2015: Loire Valley Reports a Warm Summer and Promising Wines, Wine Spectator. [online] Available at http://www.winespectator.com/. Accessed 16 Dec 2017.
2.
Jefford, A.(2015). Jefford on Monday: Burgundy wine harvest - is 2015 a great year. [online] Available at http://www.decanter.com/. Accessed 16 Dec 2017.

Pouilly Fume Regis Minet Sauvignon Blanc Vieilles Vignes 2015

【外観】
透明度が高く、色調は淡いレモン色。
特別多いわけではないが、グラスの内側に泡が確認できる。

【香り】
香りの強さは中程度。柑橘類の皮のような苦味を伴いつつも全体的にはフルーティーで新鮮な香りが支配的。もぎたての柑橘系果実(グレープフルーツ、ライム)、ハーブ(タイム、ローズマリー、ミント)などの新鮮さが際立ったスタイルだが、トーストや煎りたてのアーモンドのような香ばしさも後から顕著に感じられる。

【味わい】
予想に反してオフドライと言って良いくらいの甘さがある。香りでとったよりも青系果実(青リンゴ、グースベリー)の要素が強く感じられる。酸は量が多くないが、質としてはシャープに感じる。度数は高くない。甘味があるものの果実の熟れ方は行き過ぎておらず、砂糖菓子やドライフルーツの様な要素はない。ミネラル感はさほど存在感がない。本来は冷涼な気候のはずがたまたま暖かい年にできたような印象を受ける。
個人的にはニュージーランドのスタイルかと思っていた。全体のバランスは良し。


【テクニカル】
●発酵:酵母の添加はしない。温度管理されたステンレス容器の中で発酵させる。
●熟成:6ヶ月間澱の上で熟成させる。ソーヴィニョン・ブランの新鮮さを保つことに繋がるとされる。

【考察】
Pouilly FumeというDOCの個性として良く言われるのが、活き活きとした果実香とシャブリ地区と同様のキンメリジャン地質に由来するとされる強いミネラル感です。Fumeという単語はこの地方のソーヴィニョン・ブランから作られたワインは昔のライフル銃の撃鉄に使われた火打ち石の様な匂いがすることから付けられた様です。それでも、今回のテイスティングではあまりそれを取ることができませんでした。ヴィンテージの影響もあるかと?と思います。

Hospices de Beauneの際に触れましたが、2015年はブルゴーニュにとっては健全な果実が多く収穫できたビッグヴィンテージとされる年です(Pouilly Fumeはロワール地方の一部ですが、地理的にはいわゆるブルゴーニュ地方に近い)。2015年のヴィンテージについては後ほど書いてみたいと思います。

【参照】
1. 
Domaine Regis Minet. Available at http://en.regisminet.com/





2017年12月13日水曜日

Borovitza Gamza 2013

【外観】
やや淡いルビー。粘度は中程度。

【香り】
赤系果実(レッドチェリー、カシス、ラズベリー、クランベリー)に心地よい花やハーブ香(スミレ、ゼラニウム、バラ)が混じっている。少しだけ熟成肉のような香りも取れる。ただし全体として熟成が長い印象はない。

【味覚】
すこしオフドライの領域に入りかけているけどドライとされることが多い程度か。アルコールは中程度。相対的に円やかではあるが酸がしっかりしている。タンニンはほとんど気にならないほど柔らかく、また量的にも多くない印象。果実は熟れすぎておらず清々しさが長く続く。行きすぎた草っぽさ、土っぽさ、森の土などのマイナス要素がなく、純粋な果実みを追求するスタイルかと思われる。

生産国はブルガリア。生産者は共産時代には微生物学者だったとのこと。ブルガリアは複雑な歴史背景を持つ国で、共産時代に小さい国土にもかかわらずワイン生産量が増えた時代もあればゴルバチョフの時代には政策的にぶどうの木が引き抜きされたこともあったそう。
いわゆるブティックワイナリーと呼ばれる小規模生産者です。出過ぎるところも違和感を感じる点もなく、洗礼されていて完成度が高いと感じました。

2017年12月12日火曜日

シャンパーニュ 2015年のベストセラー 10ブランドについて

年末年始の忘年会シーズンが到来しました。ワインを選ぶ機会も増えるのではないでしょうか?

数あるワインの中でシャンパーニュはどんな状況でも格好がつき、使いやすいのではないかと思います。

今回はそんなシャンパーニュについてです。微妙に古いのですが、2015年の世界でのベストセラー トップ10のブランドについての記事がありましたので紹介いたします。

参照1はThe Drink Businessが2015年のシャンパーニュのベストセラー 10ブランドについて紹介した記事です。

私としてはこの記事は非常に良く書かれていると思います。書かれている内容ですが、ざっくり以下です。

まず最初にシャンパーニュの業界全体の動向について書かれています。具体的に言えば、シャンパーニュはその他発泡性ワインとの競争に晒されており、さらにシャンパーニュの業界内でも各メーカー同士の競争があり、業界全体として高品質化・差別化が進んでいる点が指摘されています。

またシャンパーニュは独特の製造法で作られるため、一般の方には馴染みがない用語が出てきます。それらの単語についても始めに説明がされています。

加えて、各メーカーの現行製品の品種のブレンド比率、熟成期間、更に各社の現在の動向などの重要な情報も良くおさえられています。各メーカーの個性が捉えられている文章も読み応えがあり、優秀な記事かと思います。

今後のために、各メーカーのウェブサイトだけまとめて掲載しておきます。

導入としてこの記事に目を通し、そのあとに各社のサイトを巡るのが良いかと思います。

Canard-Duchêne
http://www.canard-duchene.fr/m/

Lanson
http://www.lanson.com/

Piper-Heidsieck
http://piper-heidsieck.com/en

Pommery
http://www.champagnepommery.com/en/

Taittinger
http://t.taittinger.fr/fifa2014/

Laurent-Perrier
http://www.laurent-perrier.com/

G.M. Mumm
https://www.mumm.com/en

Nicolas Feuillatte
http://www.nicolas-feuillatte.com/en/

Veuve Clicquot
https://www.veuveclicquot.com/

Moët & Chandon
https://www.moet.com/

[Reference]
1.
Schmitt, P.(2016). TOP 10 BIGGEST CHAMPAGNE BRANDS 2016. The Drink Business. [online] Available at https://www.thedrinksbusiness.com/. Accessed 12 Dec 2017.

2017年12月10日日曜日

シャンパーニュとグラスについて

ワインは注がれるグラスによって味が変化する、とはよく言われることです。

今回はグラスの材質とシャンパーニュの味の感じ方についてお話ししますが、その前になぜグラスの形状がワインの味覚的な感じ方に影響するのか復習しましょう。

《前提  なぜワイングラスの形状が味覚に影響を与えるのか》
人間の舌は部分によって感じやすい味覚が違います。酸味が感じやすい部分があれば渋みや甘味、辛味が感じやすい部分もあります。グラスが変わることによって飲む時の舌とワインの触れ方や接触する部分が変わるため、味の感じ方が変化するというのが定説かと思います。

余談ですが、酸味が強いブルゴーニュの赤ワインを飲む時は口がすぼんだグラスを使うことでワインが舌の中心に落ちてくるようにします。この部分は酸味はあまり感じない部分のため結果的に酸味が抑えられることになります。ボルドーグラスやソーヴィニョンブラン用のグラスにもそれぞれのその特徴的な形状‘には意図があります。

《はじめに  グラス形状がシャンパーニュの味覚に及ぼす影響》
それではシャンパーニュワインのような発泡性があるワインではどうでしょうか?
ちなみに、一般的にスパークリングワインはきめ細かい泡が安定的に長く出るものが高品質とされます。
きっと同じように用いられるグラスの形状によって味が変わりそうですよね。シャンパーニュも他の種類のワインと同じように特別な形状のグラスでサービスされることが多いと思います。口先から胴部、底までの直径が小さいグラスが一般的かと思います。また胴部の膨らみはあまりありません。
シャンパーニュの泡は、仮に胴部が太いグラスに注がれてしまうと、液体表面や中心で凝集し泡が大きくなってしまうと言われます。そのため、このような小ぶりのグラスが使われるものと考えられます。


《本論  シャンパーニュの発泡性とグラスの材質の関係性》
シャンパーニュ等のスパークリングワインがスティルワインと違う点は、発泡性があることです。今回のお話は、シャンパーニュは注がれるグラスの材質によって泡の特徴が変わるということについてです。

参照1の要点ですが、ザッとですが以下の通りです。

【要点】
・研究者であるKyle S Sprattらはシャンパーニュの中で発生する泡の大きさのを音響に関する測定のみから調べることができるか、について研究を行った。
・Kyle S Spratらによると、シャンパーニュをStyrofoam(発泡スチロール)でできたグラスに注ぐ場合、発泡する過程がガラスのグラスに注がれた場合と全く異なる。
・泡によって生じる音の周波数は部分的に泡の大きさに依存する。

要するに、シャンパーニュの場合スティルワインと違い泡が生じる過程の違いが味覚に影響し、その発泡の過程はグラスの材質によって変わります。そのため、発泡スチロールやプラスチックのコップにシャンパーニュを注いだ場合、ガラスのグラスに注いだ場合と感じ方が違ってくる可能性があります。

参照2ではさら一歩進んでその他のプラスチックについても述べています。
グラスの材質がプラスチックである場合、泡は強固にグラスの内側にくっつき大きくなるとのことです。その場合、高品質とされる繊細で細やかな泡ではなくなってしまいますね。

Kyle S Sprattらの研究結果ですが、要点の3番目は意外と大事な点ではないかと思います。というのも、泡が出す音と泡の大きさにある程度の相関関係があることを示唆しているからです。具体的に言えば、シャンパーニュを注いだ時の泡のプチプチする音が音程的に高く感じる場合、泡の大きさは概して小さい傾向がある、ということが言えるかもしれないのです。

となるとブラインドデイスティングの際に使えるツールが1つ増えることになるため、個人的にはオリジナルの論文を是非とも読んでみたいです。

[Reference]
1.
Hosie, R.(2017). CHAMPAGNE TASTES DIFFERENT IN PLASTIC CUPS COMPARED TO GLASS FLUTES, STUDY FINDS. Independent. [online] Available at http://www.independent.co.uk/. Accessed 10 Dec 2017.
2.
Edwards, J.(2017). Why you should never drink Champagne out of a plastic cup. COSMOPOLITAN. Available at http://www.cosmopolitan.com/. Accessed 10 Dec 2017.


2017年12月9日土曜日

スミレ(Violet)香りについて

ワインの表現を表現するために様々な花や果物の名前が用いられますが、それらの中には一般的な日本人にとってはあまり親しみがないものも少なくありません。

今回はスミレ(英:Violet)について書いてみます。

まず最初に、この香りが感じ難くても落ち込まないでください。というのもスミレの香りの原因物質の1つとされている物質は、嗅ぐ人によって感じ方が全く違うこと分かっているからです。ちなみにシラーやグリューナーフェルトリーナの個性である胡椒っぽさについては、そもそも香り自体を感じにくい人が一定数いるようです。

スミレの香りの原因物質のとされているのが、主にα-イオノンとβ-イオノンという物質です。イオノン はヨノンとも呼ばれるようです。面白いことに、製造方法によってはβ-イオノンは烏龍茶にも含まれる可能性があるようです。気になる方は参照1のサントリー食品インターナショナルの特許を参照してください。

参照2によるとワイン製造上の発生経路は「カロテノイドの酸化的分解」(後藤. 2013)とのことです。これが起こりやすい品種ではスミレの香りが生じやすいと考えられます。

本題のワインの香りについてです。参照3ではワインを表現する上でよく使われる花の名前としてスミレが挙げられています。α-イオノン が発生するワイン用ぶどうの品種として、ムールヴェドル、トゥーリガナショナル、プティヴェルド等があるとされています。
(正直な話、自分はこれらの品種にスミレっぽさを感じたことがあまりなく、ひょっとしてスミレの香りが取れない一人なのか?)

落ち込むことはなく、この成分に限ったことではないですが、香りの感じ方は人それぞれなのです。参照4によると特定の場所の遺伝子の差異によって少なくともβ-イオノン に対する知覚感度は変わってしまうのです、感じる人でも遺伝子の違いに応じて感じ方も変わります。良い香りだとする人もいれば、酢(!)みたいだとする人もいました。

長々と書いて何が言いたかったかと言いますと、当たり前ですが香りの感じ方も人それぞれで違って当然なのです。個人的にはこのことこそワインの香りを表現する上で一番重要な大前提だと考えています。

ワインの情報誌などでは色々な聞いたことも無いような名前の花・ハーブ・果物の名前が登場します。それがどんなものか知らなくても、落胆することはありません。そもそもそれらがどんなものか知っていたとして、同じワインを嗅いだとしても他人が感じた香りとあなたが感じる香りの印象が全く違うことがあり得るのです。だからといって何も知らなくって良いと言うわけではありませんが。

もしあなたがお友達と同じワインを楽しんでいる時に、お友達が全く違う香りの表現をされたとします。その際には一歩落ち着いて、この人はこういう感じ方をするんだなとか、そう感じる人もいるんだなというくらいに考えても良いかもしれません。
仮にそのお友達があなたにとっては好ましくない香りがするワインが好きであっても、「この人は変な香りのワインが好きなんだな。おなしなな人。」とは思わないでください。その人にとっては実際に素晴らしい香りがしているのかもしれませんから。


【参照】
1.
サントリー食品インターナショナル(株). 烏龍茶抽出物. 国際公開番号WO2011/126005. 2011.10.13.
2.
Goto.N.(2013). ワインの香り評価用語. におい・かおり環境学会誌. [online]. Available at:https://s3.amazonaws.com/[Accessed 26 Nov 2017]
3.
Puckette, M.(2013). 6 Common Flower Aromas in Wine. Wine Folly. [online]. Available at http://winefolly.com. [Accessed] 9 Dec 2017.
4. 
Sara, R.(2013). A Mendelian Trait for Olfactory Sensitivity Affects Odor Experience and Food Selection, Current Biology. [online] Available at http://www.cell.com/

2017年12月5日火曜日

Hospices de Beauneについて

ワイン好きの方の中には、生きているうちに一回は参加してみたいイベントがあると思います。今回はそんな候補の1つとして語られることもあるHospices de Beauneと呼ばれる年に一度の祭典についてです。


Hospices de Beauneは毎年11月にBeauneで開催される慈善目的のオークションです。1851年から続く歴史ある恒例行事であり、毎年そこで販売されたワインの価格や合計販売金額はその年のワインを取り巻く状況を反映する指標としてワイン業界では広く情報発信されます。
このオークションですが、年によって慈善資金として提供される資金の受益者が異なり、受益者の選定も毎年の世相を反映するものとなっています。ワインの出来栄えによって雰囲気が取引されるワインの価格が変動するのも見どころですが、その年に提出されたワインの中で最高のものとされるPresident’s barrelの落札者や、その売り上げが寄付される受益者の選出もその一年を振り返る上では興味深い点かと思います。

直近3年間(2015年〜2017年)の出来高は概ね好調に推移しきており、特に出来が良いとされた2015年は高値が付いた年でした。
ちなみに、2015年はシャンパーニュの売れ行きも好調でこれまでの歴史的な売上高を記録した年でした。

デキャンターのレビューの要点をまとめると、以下の通りです。

【2015年】
・売上高は当時の歴代最高を達成し、約1,135万ユーロを記録。現在の為替では15億円以上ですね。
・好調の背景には先に出回った2015年が有望だとする見方をした方々からの報告があった。
・President‘s Barrelの売り上げの3分の1はオークションの数日前に起こったパリでのテロ事件の被害者のための団体に寄付された。
・この年のPresident BarrelはCorton Renardes Grand Crudeで、落札価格は48万ユーロ。現在のレートで6,300万円となります。ちなみにこの価格は容量が228lのPieceと呼ばれるブルゴーニュ式の樽の一本の価格となります、
・落札者はフランス人の慈善家であった。
・全体の60%はネゴシアンが購入した。
・赤・白合わせて575本が出品された。

【2016年】
・売上高は2015年より25%減少したものの、依然として好調。
・ワイン自体は高品質であるものの、春に襲来した冷害の影響を危惧する声が多かったため、2015年年とは状況が違った。
・President’s BarrelはCorton Bressandes Grand Cruで落札価格は20万ユーロ。

・フランス人のホテル所有者と中国人の紅茶農園やヒスイ鉱山の所有者によって購入された。
・出品数は合計で596本。80%がネゴシアンに販売された。
・全体の77%はヨーロッパ圏内の人間に落札され、アジアは20%、米国は3%。米国の存在感は相対的に小さいことがわかる、
・平均落札価格は13,833ユーロ(現在のレートで約180万円。
・Jasper Morris MWによると政情不安が低調な結果を招いた可能性があるとのこと。イギリスのえう脱退決定というのは確かにインパクトがあるニュースだったかと思います。

【2017年】
・売上高は歴代最高だった2015年のものを超え1,350万ユーロと過去最高となる、
・President’s Barrelの価格は42万ユーロ。この年のPresident’s BarrelはCorton Grand Crus - Cros du Roidだった。Maison Albert Bichotと中国を拠点とする匿名の投資家が共同で落札した。
・出品された数量は高水準で赤・白合計で787本となる。
・Jasper Morris MWによると、この年の好結果はワインメーカーのLudivine Griveauの貢献によるところが大きいとのこと。


[Reference]
1.
Kakaviatos, P.(2015). Hospices de Beaune 2015: Bittersweet auction breaks record as money pledge to Paris victims. Decanter.[online]. Available at http://www.decanter.com/[Accessed 5 Dec 2017]
2.
Kakaviatos, P.(2016). Hospices de Beaune 2016 bidders cut spending. Decanter.[online]. Available at Available at http://www.decanter.com/[Accessed 5 Dec 2017].
3.
Mercer, C.(2017). Record sales total for Hospices de Beaune 2017 auction. Decanter.[online]. Available at http://www.decanter.com/[Accessed 5 Dec 2017].
4.
Jefford, A.(2017). Jefford on Monday: Burgundy notebook. Decanter.[online]. Available at http://www.decanter.com/[Accessed 5 Dec 2017].[Accessed 6 Dec 2017].
5.
Comite Interprofessionnel De Vins De Champagne(2017). Les Expeditions De Vins De Champagne En 2016. [online] Available at https://www.champagne.fr/. Accessed 6 Jan 2018.

2017年12月3日日曜日

シャンパーニュワインのリコールについて

12月1日付のJust Drinkの記事で以下の様な報道がありました。
シャンパーニュに関して大規模なリコール問題が発生したとのこと。
そのニュースが参照1です。

参照1から要点を取ると、
1. ランスにある瓶詰め工場で製造された5百万本のシャンパーニュがリコール対象になった。
2. リコール対象になった5百万本は全てサプライチェーンの段階で回収される可能性が高い。
3. 完了するのには時間がかかるものの、対象のワインを移し替えることなどにより問題を解決できる。

問題が発生したワインの量の規模を考えてみます。2017年の販売量が不明なため、2016年の販売量と比較して考えるとします。2016年の販売量は参照2によれば3億610万本です。生産年が違いますが、5百万本は2016年の販売量を基に計算すると全体の約1.6%になります。

2017年は正確な数値がまだ出ていないかと思われますが、ウェブ上の情報を見る限り生産量は減少する見込みの様です。参照4によると減少の背景には雹の被害と収穫時期中の雨が影響があったとのことです。シャンパーニュ地域内では新芽の23%が被害にあったということですが、ワイン造りの北限と言われる地域での栽培の難しさがわかるうかがい知れる例かと思います。

話をリコール問題に戻します。
どんな問題があってリコールに至ったのかについては言及されていないのですが、これについて考えてみることにします。

参照4はComite Champagneneのウェブサイト内にあるボトリングと瓶内二次発酵についての解説です。

おさらいですが、シャンパーニュは規則上、二次発酵が行われた瓶に入った状態で販売されなければなりません。最初に詰められた瓶からワインを移して云々ということはルール違反です。
このとき使用される瓶は強度があるガラスからできていなければならず、ガス圧(5〜6気圧)に対する耐久性に関しては厳しい規格が設けられているとのことです。シャンパーニュの瓶は内圧に対してもそうですが、ジロパレットで動かされたり、二次発酵完了後に王冠を吹っ飛ばしたりする際にも割れてはいけないのです。

ここでもう一度参照1のニュース記事に戻ると、4パラグラフの冒頭に影響がある瓶を開栓して移し替えることに対する解決策が見つかったという、なんとも分かりにくい一文があります。わかりにく発言ですが、それでも移し替えれば直るのですから、今回の問題がブレットの様なワイン自体の品質に致命的な影響を与えるものではないことがわかります。となると問題は瓶でしょうか?コルクであれば回収したワインを移し替える必要はありまん。
ただし、1つ疑問が生じるかと思います。なぜシャンパーニュなのに問題のワインを回収して移し替えて良いのでしょうか?本来これはアウトなはずです。今回は特別に移し替えてもOKとなるのでしょうか?

おそらく4パラグラフの発言はこれらの規則上の制限を考慮した上で、なんらかの規則に違反しない解決策が見つかった、ということを言いたいのかと思います。
個人的には気になるため、さらなる情報が出てくることを望みます。


[Reference]
1.
Todd, S.(2017). Champagne hit by 5m-bottle recall, just-drinks.[online]. Available at https://www.just-drinks.com/[Accessed 3 Dec 2017].
2.
Comite Champagne. Les expeditions au depart de la Champagne. LES EXPEDITIONS DE VINS DE CHAMPAGNE EN 2016.[online]. Available at https://www.champagne.fr/[Accessed 3 Dec 2017]
3.
Champagne production on the decline for 2017, Vinexpo Newsroom.[online]. Available at http://www.vinexpo-newsroom.com/[Accessed 3 Dec 2017].
4.
Bottling and secondary fermentation, Comite Champagne.[online]. Available at https://www.champagne.fr/[Accesswed 3 Dec 2017].

2017年12月2日土曜日

【テイスティング】Villa Vitas Traminer Aromatico 2015

【外観】
淡いグリーンがかったレモン。

【香り】
香りの要素としてはやや特徴のある花・ハーブ(ラベンダー、レモンバーム、ローズマリー、ゼラニウム)、新鮮なもぎたての果実(マスカット、花梨)が強く感じられる。いずれも摘み取られた直後のような新鮮さがあり、熟成のニュアンスはない。樽を使った様子はないが、若干の吟醸香の様な酵母の特徴はある。

【味わい】
度数、ボディは中程度からやや控えめ。それに対して果実味も出すぎておらず全体的にバランスが良い。香り同様にフレッシュであり、新鮮さや品種の個性を全面に出すスタイルのワインに仕上がっている。比較的シャープでしっかりした酸があり、これによってさらにもぎたて・摘みたての様なフレッシュ感が強調されている。

【テクニカル】
●生産地域:フリウリ・ベネチア・ジューリア
●度数:12.5%
●収穫:8月末から9月始めごろにかけて手摘みで収穫。アロマを最大限残すため気温が低い朝に行う。
●発酵温度:18℃で発酵

【メーカーサイト】

2017年11月30日木曜日

【テイスティング】Rimapere Pinot Noir 2015

【外観】淡いルビー。液体の縁の色はレンガ色になっておらず、まだ若い印象。

【香り】
インパクトがあり香りはやや強い。赤系果実(いちご、レッドチェリー)、ポプリのバラ、シソ、調和がとれており出過ぎていないバニラ。アルコール感が強いように感じる。典型的な熟度高い系ピノ・ノワールの特徴が明確に表現されいる一方、ぼってりと熟れすぎているような印象は受けない。バランスが取れている。
特に飲み始めは第3アロマは感じられない。時間が経っても存在感は限定的。果実味と花の要素が支配的で、全体的に親しみやすいスタイルにまとまっている。

【味わい】
安心するような甘みと果実の適度な完熟感があり、逆に酸は円やかでタンニンは柔らかく少ない。全体的に飲みやすい印象を与えている。相対的にアルコールが高い様に感じる。


【テクニカル】
品種:ピノ・ノワール100
度数:13.5%
●Brix:平均 23.5
収穫量:53hl / ha
除梗:60
全房:40
発酵:野生酵母によって行う。
木樽:フランス産バリック(新樽25%)
熟成:9ヶ月間
清澄: 行わない

ニューワールドのピノ・ノワールの個性が明確に表現されていて、そういう意味では個性があるワインである。それでいて熟れすぎた感がなく優雅さもある。



2017年11月27日月曜日

ワインの香りの原因物質

昨今、ワインの香りを表現する上で様々な化学物質の名前が語られるようなっています。

MP、ピラジン、フォクシーフレーバー等、それって一体どんな物質から生じる香りなの?
そもそも、どんな物質であれば臭いを生じるの?
この辺りを理解できれば、ワイン通の間で頻繁に語られるあの意味不明な用語の意味を読み解く手助けになるのではないでしょうか。

まず、どのような物質があれば人間は臭いを感じるのでしょうか?これが参照1の導入部で書かれている内容です。

重要なのは臭いとして感知されるためには、その物質の分子が蒸発(もしくは、個体から直接気体に変化(昇華))できるほど小さくないといけないということ。例えばデンプンを調べてもらうとわかるかと思いますが、輪っかのようなグルコースが無数に繋がっている状態になっています。これでは蒸発は出来そうになく、結果的に臭いを生じなさそうです。またもう一つの要点は、その小さい分子が親油性であることです。

【要点】
臭いの原因物質は、
・その分子が気化(もしくは昇華)するくらい分子量が低いこと。また、
・油と混じりやすい(親油性である)こと。
※2つ目については分かりにくいかもしれないので、気になる方は親油性・親水性を決定する要因である極性という概念について調べてみてください。

この条件を満たす物質は非常にたくさんありそうですよね。
これがワイン業界で耳にする化学物質の名前の多さの原因です。

参照2では、より具体的にワインの世界で語られる香りの原因となる物質群が紹介されています。ただし、ここに出てくるピラジンやチオールといった名称はあくまで総称で、個々の物質までの話は概ねされていません。
基本的に、ワインを楽しむためであればこのレベルの知識があれば全く問題はありません。おおまかに、こういう名前の物質群はこんな特徴があるんだな、という理解だけあれば十分です。

さらに詳しく、ワインの香りの原因物質の構造まで記載されているのが参照3です。
化学に詳しい方はむしろここまで見えた方が極性・官能基等が比較できてしっくりくるかもしれません。日本語で読めて、かつ満遍なく網羅しているという点で優れた資料だと思います。


[Reference]
1.
Cotton, S.(2009). If it smells - it’s chemistry. Royal Society of Chemistry. Available at:https://eic.rsc.org/[Accessed 26 Nov 2017]
2.
Puckette, M.(2015). Where Wine Flavors Come From: The Science of Wine Aromas. Wine Folly. Available at: http://winefolly.com[Accessed 26 Nov 2017]
3.
Nami.(2013). ワインの香り評価用語. におい・かおり環境学会誌. [online]. Available at:https://s3.amazonaws.com/[Accessed 26 Nov 2017]

2017年11月25日土曜日

ワインの起源はどこなのか?

ワインの起源はどこなのか?現在の研究では以下の通りとされています。

参照1Wine Follyでは簡単にぶどうが生まれたとされる地域と、その後にぶどうが進んだ道すじについて説明されています。

おおまかに言えば、Vitis Viniferaと呼ばれる品種の原種はコーカサス山脈(Zagros Mountains)やザグロス山脈(Zagros Mountains)の周辺地域で誕生した。その後人間の移動にともなって南や西に進み、やがて地中海に達した。
Wine Follyの地図はわかりやすいため一見の価値ありです。

Wine Follyの記事によれば現在知られている中で最古のワイナリーは紀元前4100年前ごろに作られたもので、現在のアルメニアに位置している。このワイナリーが発見された場所では今でもAreniという品種から赤ワイン
作られている。この品種が最古の品種であるかは不明です。

参照2New York Timesに最近掲載された記事です。この内容はワイン愛好家の間ではある程度話題になったかと思います。

簡単言えば、グルジアにある紀元前6000年ごろの2つの集落から割れた土器が見つかり、その中からワインの跡が発見された。これがユーラシア大陸のぶどうから作られたワインの最古のものとされています。

ただしこれとは別に、中国において更に古い紀元前7000年ごろものと思われる野生ぶどうを含んだカクテルの様なものの痕跡が見つかっている。今回の発見では純粋にブドウだけを発酵させたワインが作られた痕跡が見つかったため注目を呼んだわけです。

さらに詳しい文献が読みたいという場合、参照2の中に登場するPatrick McGover氏の論文がweb上で公開されています。それが参照3になります。

参照3によればワインの跡が発見されたNear East地域(西アジア)では氷河期以降の紀元前62004200年ごろ気候の温暖化のため特に一年を通した定住が進んだとされている。その過程で穀物や果物の栽培に繋がったとされている。

どの記事も掻い摘む程度しか読み込めていないのですが、後々に気になることがあった際の道しるべとして書き残しておきます。
絶対忘れそうな気がしますが。



[Reference]

  1. Puckette, M. (2017).  Where Did Wine Come From?. Wine Folly. Available at:http://winefolly.com[Accessed 25 Nov 2017].
  2. St. Fleur, Nicolas.(2017). Wine From Prehistoric Georgia With an 8,000 Year-Old Vintage. The New York Times,[Online]. Available at:https://www.nytimes.com/[Accessed 25 Nov 2017].
  3. Mcgovern, P. (2017). Early Neolithic wine of Georgia in the South Caucasus. Proceeding of the National Academy of the United States of Aerica. Available at:http://www.pnas.org/[Accessed 25 Nov 2017].

2017年11月23日木曜日

Domaine Thomas

WSETの勉強仲間からオススメされたニュージーランドのピノ・ノワールの生産者がDomaine Thomasだった。

生産者のWebサイト読みながら思ったことはを忘備録として書き残す。


Domaine Thomas
セントラルオタゴ(ニュージーランド)とジュブレシャンベルタン(フランス)の二箇所でワインを生産する家族所有のワイナリー。ぶどうの品種はピノ・ノワールのみ。


【セントラルオタゴ(Central Otago)】
位置情報
・緯度はおおよそ南緯45°
比較のために日本の地理について言えば、最北端の択捉島が北緯45°に位置する。
英語で緯度を表記するとき、例えば北緯45°に位置すると言う場合、"at a latitude 45° north"となる。" ° "の読み方はディグリー。ちなみに温度を言う場合は、厳密には℃(ディグリー セルシアス、もしくはディグリー センティグレード)や℉(ディグリー フェレンハイト)と言った方が誤解がない。
・冷涼な産地だが、ピノ・ノワールにはこの温度帯が適しているとされる。温暖な気候帯ではジャムの様な行きすぎた甘さが出るワインが出来てしまう可能性がある。

地形
・畑は周辺地域より高地に位置しており、その中でも別々の位置に4つの畑を所有している。全ての畑の個性は異なる。

栽培方法
・ピノ・ノワールの中でもクローンはPommardDijonのを栽培している。
Pommardはワイン新興国でよく流通している。Dijonはブルゴーニュ由来で人気が高い。
対照的にPinot Droitと呼ばれるブドウの粒が大きく生産量が多いクローン群もあるおそらくサイトにPommardDijonのクローン名が明記されると言うことは、そう言ったクローンは使っていないということを強調したいと思われる。

製造工程
・製造上のコンセプトはできる限りセントラル・オタゴの風景や気候を反映したワインを作ること。人の手による介在を出来る限り少なくする。
・果実味とバランスを出すためフランス産オーク樽を使用する。


【ジュヴレ・シャンベルタン(Gevrey Chambertin)】
位置情報:
・こちらも北緯は高く47°
セントラル・オタゴとは対照的に、こちらの生産地は何世紀にもわたってワインが生産され続けてきた伝統生産地域である。そのため過去に修道士たちによって蓄えられた細かい地域区分ごとのワインの個性についての膨大な情報がある。

地質:
・石灰石と粘土。岩と軟体生物の化石も多い。
水はけの良さと適度な保水効果があるとされる組み合わせ。
・長い年月の間に生じた土の侵食のため、畑の上部半分には他のAOC格付が与えられている畑から取得した土をくわえている。

栽培:
・樹齢は80100年のものが多い。一部には新しい木も植えている。

醸造:
100%除梗する。
・低温での浸漬を行う
・発酵後、18ヶ月間フランス産オーク樽で熟成する。新樽100%。
・フィルターによる濾過はしない。
コンセプトはセントラルオタゴとは同じで人による介在をできるだけ少なくすること。


【参照】
メーカーのWebサイト



2017年11月21日火曜日

【テイスティング】Corcova Reserve Syrah 2012

【外観】
深いルビー。やや赤みがかっている。

【香り】
香りはやや強い。赤・黒系果実、杉、肉、インク、ジビエ、きのこ、要素が多く非常に複雑。アルコールが高い印象。

【味わい】
非常に深い。酸はやや強い。アルコールは高い。タンニンはしっかりあるが柔らかい。辛口だが若干の甘みも感じられる。複雑性に富んでいる。メンソールの様なハーブのニュアンスも感じる。
後味は微かにえぐみの様な苦味が残るが、悪い要素ではない。品種の個性か。
果実味が強く、ぶどうの熟成度も高い。多少スパイシーだが、それが支配的なワインではない。バランスが取れている印象。アタック
強いだけでなく、余韻まで味わいの複雑さが持続する。

【考察】
はっきり言って検討がつかない。多少スパイスが出て果実味もあり、それでいて漆黒の様な色味ではなく若干赤みが出る品種。タンニンは強くない。難しかった。

【テクニカル】
度数:14.8%
発酵:コンクリートタンク
熟成:ルーマニアオークで11ヶ月間

【テイスティング】Barbera d'Alba 2012 Giuseppe Cortese

【外観】
漆黒。粘性が高そう。

【香り】
フレッシュな果実。ブルーベリー、ブラックチェリー、プルーン、インク、除光液、バラ、スミレ。

【味わい】
果実が全面に出たスタイリッシュなワイン。酸味は非常にに強い。度数は高い印象を受けるが、いろいろな要素があって断定しにくい。ローズ、クローブ、のようなオーク由来の特徴あり。果物をかじった時の様な新鮮さを感じる。低音発酵、酸素との接触が少なそう。

【全体の印象】
フルーティでありながら要素が多く複雑性に富む。熟成からくる特徴は支配的ではなく、まだまだ楽しめる。タンニンは強すぎない。

2017年11月19日日曜日

【テイスティング】飛鳥ワイナリー Cabernet Sauvignon 2013

【外観】
深いガーネット。淵がレンガ色に近づいている。

【香り】
やや強い。杉、カシス、黒系果実、スパイス(クローブ、シナモン)凝縮された果実味とバランスが取れた複雑性が感じられる。カベルネの個性である草っぽい特徴は明確に感じられる。少しだけバニラもある。

【味わい】
辛口。やや高い酸味。タンニンは中程度でソフト。カベルネ由来の青さは残っている。他国の銘醸地と比較すると強烈な果実味や際立った凝縮感はないが、バランスが取れている。強いて言えば酸味と青さが強いか。日本でもこういうワインが出来るのかと感じる。

【テクニカル】
度数:12
熟成:オーク樽。
濾過:濾過なし。生詰め。
収穫年:2013年。大阪にとってはビッグビンテージだったとのこと。

生詰めというのは生産地域周辺でしか手に入りにくい物かと思う。日本ワインは水っぽいとか言われることもあるけど、これは濾過なし・生詰めということもあってか、そんなことはない。
アルコールが高くなくバランスが良く、酸味が際立つスタイル。品種の個性が明確で樽由来の要素はそれほど多くない。バランスのワイン。昔のボルドースタイルに近いのではないかと個人的には思う。

【テイスティング】Ruche di Castagnole Monferrato DOCG 2012, Ferrarois Agricola

【外観】

中程度のルビー色。


【香り】

中程度であるが明確に胡椒の香りが際立っていて支配的。これは品種での特徴だと思われる。黒・白胡椒、シナモン、ユーカリ、セージ、ヴェルガモット。エスニックでスパイシーな印象。赤系果実があるけど、その印象はスパイシーさと比較すると強くない。


【味わい】

辛口。酸味は強くなく中程度。度数は中~やや高い。ボディー、味わいの強さは中程度。スパイスの要素が際立って高い。ただしこれが個性だと思われる。

合いそうな食べ物を探してみたい面白いワイン。


【テクニカル】

品種:Ruche 100

仕立:長いコルドン上で短梢剪定。

発酵:Rucheの個性を残すため、温度管理が可能なステンレスタンクで行う。

地域:Astiの北東部。海抜220250m

熟成:ステンレスタンクないで熟成

濾過:無濾過

ぶどう本来の個性をより引き出し、それ以外からくる要素を少なくしている感がある。


【メーカーwebサイト】

https://www.ferrarisagricola.com/en/home/

【テイスティング】マスカットベリーA Barrel Aged 2014 熊本ワイナリー

【外観】

淡いルビー。縁にレンガ色の様な色味はまだ出ていない。若そう。


【香り】

香りの強さはやや強い。熟したイチゴ、イチゴガム、パイナップル、レッドチェリー。

カルボニックマセラシオンで醸造しているか、もしくはヴィニフェラではなさそう。

後になってに気づいたが、微かにFoxyな香りがある。それでも上手くバランスが取れていて、全体の印象を壊してしまう程では全くない。


【味わい】

オフドライ。タンニン少(これがCMと考えた理由の1つ)、度数・酸味は中程度。

フレッシュであるけど適度に複雑さもあって、かつ飲みやすい。

少ないタンニン、缶詰のパイナップルや熟したイチゴの香りがあったので当初迷わずガメイを選択。それであればしっかり色が出るはずなのに、それは無視したのがまずかった。


【テクニカル】

今となってはよくわからん。樽熟は長いか。そうだとすると、樽からくる性質が強くなりすぎずバランスが上手く取れている印象。

度数は13

【テイスティング】Torreon de Paredes Cabernet Sauvignon 2016

【外観】

淡い赤(WSET用語ではない)。オレンジの要素はない。

粘性に特別な特徴なし。


【香り】

ビーマンの様な青さが違和感ない程度に確認できる。それでも全体の印象に悪影響を与えるレベルではない。青いリンゴ、柑橘系、いちご。さだまらすぎ。


【味わい】

酸味はやや強い。アルコール、ボディー、味わいの強さは中程度。ほのかな甘さもあるけど辛口として良いとの思う。

フレッシュなところが醍醐味なワイン。カベルネ品種から来ると思われる青さは新鮮さをなお強めていて、良し。粗がなく無難に良い。


【考察】

やや感じられるピーマンぽさカベルネ品種からくるものと思われる。色合いはロゼの中でも割としっかり赤が立っている部類。酸が高く温暖地域で作られたワインではなさそう。色合いが濃すぎる気はしたけど、ロゼ・ダンジュかと思った。

Rose d'AnjouCabernet d'Anjouを比較すると前者の方が残糖が少ない可能性がある。


【テクニカル】

度数:13

総酸量:4.17g/L

発酵:ステンレスタンク

気候:Cachapoal Valleyの高地にあるRengoという街の中心部で作られる。周辺の山に閉ざされていて他地域と比べ冷涼で乾燥している。アンデスの影響に晒される地域。

【テイスティング】都農ワイナリー シャルドネ Barrel Aged 2012

【外観】

濃いレモン色

粘性は高くない


【香り】

強さは中程度。赤いリンゴ、プラム、アプリコット、アカシア、クリーム、セージ

割と複雑な要素がある。ただ、淡い。乳製品の様な香りが微かにある。マロラクティックか?


【味わい】

やや強い酸味。アルコールはやや低い。特に品種の個性が感じられるものではない。おそらくアロマティックな品種ではない。全体的に淡い味わい。アルコールも低いため、酸が際立つ印象を受ける。


【考察】

色が濃い理由を推定できない。品種であればグリ系品種(この場合あり得るのは甲州)、醸造法であれば発酵前浸漬、長期の浸漬、熟成過程での意図的酸化)。もしくはぶどうの完熟度が高くても色が出ることはあるけど、度数が低いことを考慮すると、それはなさそう。

果実の凝縮感がなく、おそらく雨が多い地方で作られてる。


結論として、日本の甲州だと思っていた。吟醸香がないのは違和感がのこるところだった。

マロラクティックをしているシャルドネだということは考えるべきだった。