2017年12月29日金曜日
シャンパーニュに関するヴィンテージについて
Tra la Terra e il cielo Barbera d’Asti Superiore 2013
深いガーネット。グラスの縁はレンガ色になっており、熟成されたワインである印象を受ける。
【香り】
エレガントで芳香性が強い。それでいて様々な香りの要素があり、全体として複雑性に富むワインになっている。やや第三アロマが先行しており、ジビエ、タバコ、肉、血、スパイス入りの燻製ハム。果実としてはダークチェリーやプルーン。その他に深入りのトラジャコーヒー、インク、ヴァニラそして微かな清涼感につながるメンソールのニュアンスもある。香りを構成している要素が多く、複雑である。
外観と同じく、酸素とある程度接触している状態での熟成が長いような印象を受ける。
【味わい】
オフドライ。なんだこのスタイルは!知らない!
度数も高い。温暖地域で栽培し、なおかつ収量制限を課したり選別を厳しくしているような印象を受ける。タンニンは量的には少ないが持続性があるがある。性質としては柔らかい。全体として複雑性に富む。酸はやや低い。
複雑性に富む。全体としてのまとまりがあり、バランスが取れている。酸は相対的に少ない様に感じるが(おそらく甘さと高い度数に起因する)、全体の印象は良い。
【テクニカル】
●度数:14.5%
●収穫:収量は5hl/ha。手摘みで行なう。
●発酵:28℃でステンレスタンク内で行なう。
●熟成:225lのバリックで15-20ヶ月間熟成する。瓶内熟成は6ヶ月。
【事後考察】
品種のバルベーラの個性ですが、酸が高く、タンニンは少なめになることが多いとされる品種です。かつてはネッビオーロの陰に隠れて目立たない存在でしたが、最近はフレンチオークを使用した長期熟成等により品質が向上していることで知られています。
まさに今回のワインはそういうスタイルのワインだったわけでした。
【参照】
1. メーカーサイト
http://www.tenutalameridiana.com/
2. Robinson, J. Barbera. Learn about wine. [online] Available at https://www.jancisrobinson.com/. Accessed 29 Dec 2017.
3.
2017年12月25日月曜日
Klein Constantia Riesling 2015
中程度のレモン色。透明性が高い。
泡が顕著にある。
【香り】
やや強い芳香性がある。甘やかな要素としては青リンゴ、蜜蝋。ミネラル感のものとしては濡れたウール、ペトロ香が取れる。微かにスペアミントのような清涼感があるハーブのニュアンスもある。相対的に果実の香りは多くない。
【味わい】
ボーンドライ。度数が非常に高く、ドイツのリースリングにしては高すぎるように感じられる(なんと13.5%もあった!)。それでいて酸はしっかり残っており冷涼生産地を連想する。度数も酸も同程度に高いため、アンバランスな印象はない。後味は強い酸とグレープフルーツの皮を噛んだような苦味が微かに残る。
【感想】
南アのワインは比較的酸が弱くなる傾向がある印象だったので、リースリングとは言えどもこんなに酸が残っているとは思っていなかった。裏ラベルの情報によると生産された地域が南アの中でも冷涼なCape Peninsulaであるのと、2015年は特に冷涼なビンテージだったとのことです。
後味のグレープフルーツのような苦味は何から生じるのか?
発酵前浸漬の期間が長かったり、プレスの圧がきつかったり、発酵温度が高いと苦味の原因になる成分が多くに抽出されそうです。このワインの苦味が悪いという訳ではなく、それがこのリースリングの個性になっていると思います。石を舐めたようなミネラル感も感じられます。
2017年12月24日日曜日
Trimbach Gewurztraminer Selection de Grains Nobles 2001
透明な淡い琥珀色。
粘性は高い。
【香り】
香りは非常に強い。蜂蜜、蜜蝋、マーマレードジャムといった貴腐菌由来の要素が明確に表れている。果実の要素としては熟れた花梨やパイナップル。そのあとに微かに爽やかなオレンジピールのような苦味も感じられる。清涼感があり微かにラベンダーのようなハーブのニュアンスもある。
【味わい】
甘口であるが酸とのバランスが取れており、甘ったるくない。アルコールも同様にやや高いが、他の要素との調和が取れており目立っては感じられなかった。フルボディーでパンチがある果実味が支配的ですが、複雑性もあります。
【考察】
ゲベルツトラミネールは糖度が上がりやすく酸が低くなりやすい品種と言われることが多いのです。それでもアルザスの気候ではそういったスタイルに仕上がらないことも多々あります。また醸造過程での発酵温度がもたらす影響も少なからずあり、それが他の地域のゲベルツトラミネールとの違いの原因になっていると指摘されることもあります。
ゲベルツトラミネールの特徴的な香りの要素としてライチやジンジャーといったものが挙げられます。これらはトロピカルフルーツやスパイシーさを意味する言葉だと思います。今回のワインについてはそこまでの要素は感じられなかったかなと思うのですが、これについては今後別の機会に書いてみます。
2017年12月23日土曜日
ワインの表現に使われる花の香りについて
ワインの香りや味わいを表現するということは非常に難しいことだと思います。
数を比較してみると白・黄の花の数が圧倒的に多いことがわかりますね。
是非、お気に入りの伝わりやすい単語を見つけてみてください。
マスカット ベリーA樽熟成 2015年 熊本ワイン - Muscat Bailey A Barrel aged 2015, Kumamoto Wine
[Appearance]
The wine is slightly pale garnet.
If I say about the strength of the aromas found on this wine, it is not that much and is just modest. However the stylistic uniqueness of this wine inclined me to take it rather elegant.
Primary aromas found include freshly-picked red flowers(violet, iris), fresh herbs(perilla), fresh red fruits(sour cherry, raspberry). There are hints of rose and vanilla which both seemingly have derived from contact or aging with oak. Above said aroma characters are well-integrated giving the impression that the wine is very balanced. Again what I appreciate is that there are many aromatic components such as fresh flowers, herbs and other and at the same time these are well-integrated.
Soon after swallowing the very first sip of the wine, I realized that I was facing to a type of wine that I have not encountered many times before. I personaly found some similarities to Pinot Noir made in cold regions or Poulsard in Jura, or a style half way between them might be the best word of substitute to represent this wine. Once again, I was honestly surprised at both less noticeable scents that are usually linked to Muscat Bailey A and the integration between varietal aromas and other aromatic characters.
I think Kikuka series made from Chardonnay are more well-known however I expect a good success of this wine in future. To be really honest, this is the wine that changed my general perception about Japanese wine made from Muscat Bailey A. Apart from being a copy of French wine, this high quality of the wine indicated the possibility that with varietal uniqueness of Muscat Bailey A, great wine may be made in Japan too.
2017年12月21日木曜日
Mercurey Blanc Les Obus 2014 Domaine de la Monette
2017年12月20日水曜日
AOC Cote de Jura Poulsard Domaine Baud 2012
Noto Rosso Marabina 2014
【参考情報】
●メーカーサイト:http://www.marabino.it
●DOC Notoについて:https://italianwinecentral.com/denomination/noto-doc/
●外観について:
やや淡いルビー色。Nero d’Avolaは基本的には色が濃くなる傾向が強いと言われることが多いです。
●度数について:
14.5%という数字は飲んだ印象からすると高く感じた。おそらく類まれな高い酸味があったため、度数が正確に取れなかった。結果的にボディーも軽く感じた。
ただし、メーカーサイトによると夏はシチリア島の中でも最も気温が上がる場所の1つで作られているのとことで、度数が上がりやすい環境ではあるようです。
●酸味について:
Nero d’Avolaという品種は酸味よりは熟した甘味を伴う赤系果実の要素が出やすい品種かと思います。その割にはこのワインの酸味は高く、予想を裏切られる結果となりました。
●地理的条件について:
夏はあつい地方ですが海に近くまた畑の向きも関係し、そこからできるワインの印象を変えていると思われる。海に近い場合、海風にさらされる可能性が高く、気温は和らげられる傾向にあります。また畑の向きは北半球では北方面を向いている場合、果実の完熟度を抑える方向に働きます。この辺がこのワインの特徴を決定する要因としてあるのではないかと思います。
●製造全般について:
ビオロジックです。これについては難しい議題なので、また後ほど扱うことにします。
ブラインドテイスティングを終えてみて、面白いワインだと感じました。シチリアという印象はあまり強くないですが個性的であり、そもそもエレガントな印象が強いワインであるため好印象でした。
2017年12月16日土曜日
2015年のPouilly-Fumeについて
Pouilly Fume Regis Minet Sauvignon Blanc Vieilles Vignes 2015
2017年12月13日水曜日
Borovitza Gamza 2013
やや淡いルビー。粘度は中程度。
【香り】
赤系果実(レッドチェリー、カシス、ラズベリー、クランベリー)に心地よい花やハーブ香(スミレ、ゼラニウム、バラ)が混じっている。少しだけ熟成肉のような香りも取れる。ただし全体として熟成が長い印象はない。
【味覚】
すこしオフドライの領域に入りかけているけどドライとされることが多い程度か。アルコールは中程度。相対的に円やかではあるが酸がしっかりしている。タンニンはほとんど気にならないほど柔らかく、また量的にも多くない印象。果実は熟れすぎておらず清々しさが長く続く。行きすぎた草っぽさ、土っぽさ、森の土などのマイナス要素がなく、純粋な果実みを追求するスタイルかと思われる。
生産国はブルガリア。生産者は共産時代には微生物学者だったとのこと。ブルガリアは複雑な歴史背景を持つ国で、共産時代に小さい国土にもかかわらずワイン生産量が増えた時代もあればゴルバチョフの時代には政策的にぶどうの木が引き抜きされたこともあったそう。
いわゆるブティックワイナリーと呼ばれる小規模生産者です。出過ぎるところも違和感を感じる点もなく、洗礼されていて完成度が高いと感じました。
2017年12月12日火曜日
シャンパーニュ 2015年のベストセラー 10ブランドについて
数あるワインの中でシャンパーニュはどんな状況でも格好がつき、使いやすいのではないかと思います。
今回はそんなシャンパーニュについてです。微妙に古いのですが、2015年の世界でのベストセラー トップ10のブランドについての記事がありましたので紹介いたします。
参照1はThe Drink Businessが2015年のシャンパーニュのベストセラー 10ブランドについて紹介した記事です。
私としてはこの記事は非常に良く書かれていると思います。書かれている内容ですが、ざっくり以下です。
まず最初にシャンパーニュの業界全体の動向について書かれています。具体的に言えば、シャンパーニュはその他発泡性ワインとの競争に晒されており、さらにシャンパーニュの業界内でも各メーカー同士の競争があり、業界全体として高品質化・差別化が進んでいる点が指摘されています。
またシャンパーニュは独特の製造法で作られるため、一般の方には馴染みがない用語が出てきます。それらの単語についても始めに説明がされています。
加えて、各メーカーの現行製品の品種のブレンド比率、熟成期間、更に各社の現在の動向などの重要な情報も良くおさえられています。各メーカーの個性が捉えられている文章も読み応えがあり、優秀な記事かと思います。
今後のために、各メーカーのウェブサイトだけまとめて掲載しておきます。
導入としてこの記事に目を通し、そのあとに各社のサイトを巡るのが良いかと思います。
Canard-Duchêne
http://www.canard-duchene.fr/m/
Lanson
http://www.lanson.com/
Piper-Heidsieck
http://piper-heidsieck.com/en
Pommery
http://www.champagnepommery.com/en/
Taittinger
http://t.taittinger.fr/fifa2014/
Laurent-Perrier
http://www.laurent-perrier.com/
G.M. Mumm
https://www.mumm.com/en
Nicolas Feuillatte
http://www.nicolas-feuillatte.com/en/
Veuve Clicquot
https://www.veuveclicquot.com/
Moët & Chandon
https://www.moet.com/
[Reference]
1.
Schmitt, P.(2016). TOP 10 BIGGEST CHAMPAGNE BRANDS 2016. The Drink Business. [online] Available at https://www.thedrinksbusiness.com/. Accessed 12 Dec 2017.
2017年12月10日日曜日
シャンパーニュとグラスについて
今回はグラスの材質とシャンパーニュの味の感じ方についてお話ししますが、その前になぜグラスの形状がワインの味覚的な感じ方に影響するのか復習しましょう。
《前提 なぜワイングラスの形状が味覚に影響を与えるのか》
《はじめに グラス形状がシャンパーニュの味覚に及ぼす影響》
きっと同じように用いられるグラスの形状によって味が変わりそうですよね。シャンパーニュも他の種類のワインと同じように特別な形状のグラスでサービスされることが多いと思います。口先から胴部、底までの直径が小さいグラスが一般的かと思います。また胴部の膨らみはあまりありません。
シャンパーニュの泡は、仮に胴部が太いグラスに注がれてしまうと、液体表面や中心で凝集し泡が大きくなってしまうと言われます。そのため、このような小ぶりのグラスが使われるものと考えられます。
《本論 シャンパーニュの発泡性とグラスの材質の関係性》
・Kyle S Spratらによると、シャンパーニュをStyrofoam(発泡スチロール)でできたグラスに注ぐ場合、発泡する過程がガラスのグラスに注がれた場合と全く異なる。
要するに、シャンパーニュの場合スティルワインと違い泡が生じる過程の違いが味覚に影響し、その発泡の過程はグラスの材質によって変わります。そのため、発泡スチロールやプラスチックのコップにシャンパーニュを注いだ場合、ガラスのグラスに注いだ場合と感じ方が違ってくる可能性があります。
参照2ではさら一歩進んでその他のプラスチックについても述べています。
グラスの材質がプラスチックである場合、泡は強固にグラスの内側にくっつき大きくなるとのことです。その場合、高品質とされる繊細で細やかな泡ではなくなってしまいますね。
Kyle S Sprattらの研究結果ですが、要点の3番目は意外と大事な点ではないかと思います。というのも、泡が出す音と泡の大きさにある程度の相関関係があることを示唆しているからです。具体的に言えば、シャンパーニュを注いだ時の泡のプチプチする音が音程的に高く感じる場合、泡の大きさは概して小さい傾向がある、ということが言えるかもしれないのです。
となるとブラインドデイスティングの際に使えるツールが1つ増えることになるため、個人的にはオリジナルの論文を是非とも読んでみたいです。
Hosie, R.(2017). CHAMPAGNE TASTES DIFFERENT IN PLASTIC CUPS COMPARED TO GLASS FLUTES, STUDY FINDS. Independent. [online] Available at http://www.independent.co.uk/. Accessed 10 Dec 2017.
2.
Edwards, J.(2017). Why you should never drink Champagne out of a plastic cup. COSMOPOLITAN. Available at http://www.cosmopolitan.com/. Accessed 10 Dec 2017.
2017年12月9日土曜日
スミレ(Violet)香りについて
スミレの香りの原因物質のとされているのが、主にα-イオノンとβ-イオノンという物質です。イオノン はヨノンとも呼ばれるようです。面白いことに、製造方法によってはβ-イオノンは烏龍茶にも含まれる可能性があるようです。気になる方は参照1のサントリー食品インターナショナルの特許を参照してください。
参照2によるとワイン製造上の発生経路は「カロテノイドの酸化的分解」(後藤. 2013)とのことです。これが起こりやすい品種ではスミレの香りが生じやすいと考えられます。
本題のワインの香りについてです。参照3ではワインを表現する上でよく使われる花の名前としてスミレが挙げられています。α-イオノン が発生するワイン用ぶどうの品種として、ムールヴェドル、トゥーリガナショナル、プティヴェルド等があるとされています。
(正直な話、自分はこれらの品種にスミレっぽさを感じたことがあまりなく、ひょっとしてスミレの香りが取れない一人なのか?)
落ち込むことはなく、この成分に限ったことではないですが、香りの感じ方は人それぞれなのです。参照4によると特定の場所の遺伝子の差異によって少なくともβ-イオノン に対する知覚感度は変わってしまうのです、感じる人でも遺伝子の違いに応じて感じ方も変わります。良い香りだとする人もいれば、酢(!)みたいだとする人もいました。
長々と書いて何が言いたかったかと言いますと、当たり前ですが香りの感じ方も人それぞれで違って当然なのです。個人的にはこのことこそワインの香りを表現する上で一番重要な大前提だと考えています。
ワインの情報誌などでは色々な聞いたことも無いような名前の花・ハーブ・果物の名前が登場します。それがどんなものか知らなくても、落胆することはありません。そもそもそれらがどんなものか知っていたとして、同じワインを嗅いだとしても他人が感じた香りとあなたが感じる香りの印象が全く違うことがあり得るのです。だからといって何も知らなくって良いと言うわけではありませんが。
もしあなたがお友達と同じワインを楽しんでいる時に、お友達が全く違う香りの表現をされたとします。その際には一歩落ち着いて、この人はこういう感じ方をするんだなとか、そう感じる人もいるんだなというくらいに考えても良いかもしれません。
仮にそのお友達があなたにとっては好ましくない香りがするワインが好きであっても、「この人は変な香りのワインが好きなんだな。おなしなな人。」とは思わないでください。その人にとっては実際に素晴らしい香りがしているのかもしれませんから。
【参照】
1.
2.
Goto.N.(2013). ワインの香り評価用語. におい・かおり環境学会誌. [online]. Available at:https://s3.amazonaws.com/[Accessed 26 Nov 2017]
3.
Puckette, M.(2013). 6 Common Flower Aromas in Wine. Wine Folly. [online]. Available at http://winefolly.com. [Accessed] 9 Dec 2017.
2017年12月5日火曜日
Hospices de Beauneについて
Hospices de Beauneは毎年11月にBeauneで開催される慈善目的のオークションです。1851年から続く歴史ある恒例行事であり、毎年そこで販売されたワインの価格や合計販売金額はその年のワインを取り巻く状況を反映する指標としてワイン業界では広く情報発信されます。
このオークションですが、年によって慈善資金として提供される資金の受益者が異なり、受益者の選定も毎年の世相を反映するものとなっています。ワインの出来栄えによって雰囲気が取引されるワインの価格が変動するのも見どころですが、その年に提出されたワインの中で最高のものとされるPresident’s barrelの落札者や、その売り上げが寄付される受益者の選出もその一年を振り返る上では興味深い点かと思います。
直近3年間(2015年〜2017年)の出来高は概ね好調に推移しきており、特に出来が良いとされた2015年は高値が付いた年でした。
ちなみに、2015年はシャンパーニュの売れ行きも好調でこれまでの歴史的な売上高を記録した年でした。
デキャンターのレビューの要点をまとめると、以下の通りです。
【2015年】
・売上高は当時の歴代最高を達成し、約1,135万ユーロを記録。現在の為替では15億円以上ですね。
・好調の背景には先に出回った2015年が有望だとする見方をした方々からの報告があった。
・President‘s Barrelの売り上げの3分の1はオークションの数日前に起こったパリでのテロ事件の被害者のための団体に寄付された。
・この年のPresident BarrelはCorton Renardes Grand Crudeで、落札価格は48万ユーロ。現在のレートで6,300万円となります。ちなみにこの価格は容量が228lのPieceと呼ばれるブルゴーニュ式の樽の一本の価格となります、
・落札者はフランス人の慈善家であった。
・全体の60%はネゴシアンが購入した。
・赤・白合わせて575本が出品された。
【2016年】
・売上高は2015年より25%減少したものの、依然として好調。
・ワイン自体は高品質であるものの、春に襲来した冷害の影響を危惧する声が多かったため、2015年年とは状況が違った。
・President’s BarrelはCorton Bressandes Grand Cruで落札価格は20万ユーロ。
・フランス人のホテル所有者と中国人の紅茶農園やヒスイ鉱山の所有者によって購入された。
・出品数は合計で596本。80%がネゴシアンに販売された。
・全体の77%はヨーロッパ圏内の人間に落札され、アジアは20%、米国は3%。米国の存在感は相対的に小さいことがわかる、
・平均落札価格は13,833ユーロ(現在のレートで約180万円。
・Jasper Morris MWによると政情不安が低調な結果を招いた可能性があるとのこと。イギリスのえう脱退決定というのは確かにインパクトがあるニュースだったかと思います。
【2017年】
・売上高は歴代最高だった2015年のものを超え1,350万ユーロと過去最高となる、
・President’s Barrelの価格は42万ユーロ。この年のPresident’s BarrelはCorton Grand Crus - Cros du Roidだった。Maison Albert Bichotと中国を拠点とする匿名の投資家が共同で落札した。
・出品された数量は高水準で赤・白合計で787本となる。
・Jasper Morris MWによると、この年の好結果はワインメーカーのLudivine Griveauの貢献によるところが大きいとのこと。
1.
Kakaviatos, P.(2015). Hospices de Beaune 2015: Bittersweet auction breaks record as money pledge to Paris victims. Decanter.[online]. Available at http://www.decanter.com/[Accessed 5 Dec 2017]
2.
Kakaviatos, P.(2016). Hospices de Beaune 2016 bidders cut spending. Decanter.[online]. Available at Available at http://www.decanter.com/[Accessed 5 Dec 2017].
3.
Mercer, C.(2017). Record sales total for Hospices de Beaune 2017 auction. Decanter.[online]. Available at http://www.decanter.com/[Accessed 5 Dec 2017].
4.
Jefford, A.(2017). Jefford on Monday: Burgundy notebook. Decanter.[online]. Available at http://www.decanter.com/[Accessed 5 Dec 2017].[Accessed 6 Dec 2017].
5.
Comite Interprofessionnel De Vins De Champagne(2017). Les Expeditions De Vins De Champagne En 2016. [online] Available at https://www.champagne.fr/. Accessed 6 Jan 2018.
2017年12月3日日曜日
シャンパーニュワインのリコールについて
そのニュースが参照1です。
参照1から要点を取ると、
1. ランスにある瓶詰め工場で製造された5百万本のシャンパーニュがリコール対象になった。
2. リコール対象になった5百万本は全てサプライチェーンの段階で回収される可能性が高い。
問題が発生したワインの量の規模を考えてみます。2017年の販売量が不明なため、2016年の販売量と比較して考えるとします。2016年の販売量は参照2によれば3億610万本です。生産年が違いますが、5百万本は2016年の販売量を基に計算すると全体の約1.6%になります。
2017年は正確な数値がまだ出ていないかと思われますが、ウェブ上の情報を見る限り生産量は減少する見込みの様です。参照4によると減少の背景には雹の被害と収穫時期中の雨が影響があったとのことです。シャンパーニュ地域内では新芽の23%が被害にあったということですが、ワイン造りの北限と言われる地域での栽培の難しさがわかるうかがい知れる例かと思います。
話をリコール問題に戻します。
どんな問題があってリコールに至ったのかについては言及されていないのですが、これについて考えてみることにします。
参照4はComite Champagneneのウェブサイト内にあるボトリングと瓶内二次発酵についての解説です。
おさらいですが、シャンパーニュは規則上、二次発酵が行われた瓶に入った状態で販売されなければなりません。最初に詰められた瓶からワインを移して云々ということはルール違反です。
このとき使用される瓶は強度があるガラスからできていなければならず、ガス圧(5〜6気圧)に対する耐久性に関しては厳しい規格が設けられているとのことです。シャンパーニュの瓶は内圧に対してもそうですが、ジロパレットで動かされたり、二次発酵完了後に王冠を吹っ飛ばしたりする際にも割れてはいけないのです。
ここでもう一度参照1のニュース記事に戻ると、4パラグラフの冒頭に影響がある瓶を開栓して移し替えることに対する解決策が見つかったという、なんとも分かりにくい一文があります。わかりにく発言ですが、それでも移し替えれば直るのですから、今回の問題がブレットの様なワイン自体の品質に致命的な影響を与えるものではないことがわかります。となると問題は瓶でしょうか?コルクであれば回収したワインを移し替える必要はありまん。
ただし、1つ疑問が生じるかと思います。なぜシャンパーニュなのに問題のワインを回収して移し替えて良いのでしょうか?本来これはアウトなはずです。今回は特別に移し替えてもOKとなるのでしょうか?
おそらく4パラグラフの発言はこれらの規則上の制限を考慮した上で、なんらかの規則に違反しない解決策が見つかった、ということを言いたいのかと思います。
個人的には気になるため、さらなる情報が出てくることを望みます。
[Reference]
Todd, S.(2017). Champagne hit by 5m-bottle recall, just-drinks.[online]. Available at https://www.just-drinks.com/[Accessed 3 Dec 2017].
2.
Comite Champagne. Les expeditions au depart de la Champagne. LES EXPEDITIONS DE VINS DE CHAMPAGNE EN 2016.[online]. Available at https://www.champagne.fr/[Accessed 3 Dec 2017]
3.
Champagne production on the decline for 2017, Vinexpo Newsroom.[online]. Available at http://www.vinexpo-newsroom.com/[Accessed 3 Dec 2017].
4.
Bottling and secondary fermentation, Comite Champagne.[online]. Available at https://www.champagne.fr/[Accesswed 3 Dec 2017].
2017年12月2日土曜日
【テイスティング】Villa Vitas Traminer Aromatico 2015
2017年11月30日木曜日
【テイスティング】Rimapere Pinot Noir 2015
2017年11月27日月曜日
ワインの香りの原因物質
MP、ピラジン、フォクシーフレーバー等、それって一体どんな物質から生じる香りなの?
そもそも、どんな物質であれば臭いを生じるの?
この辺りを理解できれば、ワイン通の間で頻繁に語られるあの意味不明な用語の意味を読み解く手助けになるのではないでしょうか。
重要なのは臭いとして感知されるためには、その物質の分子が蒸発(もしくは、個体から直接気体に変化(昇華))できるほど小さくないといけないということ。例えばデンプンを調べてもらうとわかるかと思いますが、輪っかのようなグルコースが無数に繋がっている状態になっています。これでは蒸発は出来そうになく、結果的に臭いを生じなさそうです。またもう一つの要点は、その小さい分子が親油性であることです。
【要点】
臭いの原因物質は、
・その分子が気化(もしくは昇華)するくらい分子量が低いこと。また、
・油と混じりやすい(親油性である)こと。
※2つ目については分かりにくいかもしれないので、気になる方は親油性・親水性を決定する要因である極性という概念について調べてみてください。
この条件を満たす物質は非常にたくさんありそうですよね。
これがワイン業界で耳にする化学物質の名前の多さの原因です。
参照2では、より具体的にワインの世界で語られる香りの原因となる物質群が紹介されています。ただし、ここに出てくるピラジンやチオールといった名称はあくまで総称で、個々の物質までの話は概ねされていません。
基本的に、ワインを楽しむためであればこのレベルの知識があれば全く問題はありません。おおまかに、こういう名前の物質群はこんな特徴があるんだな、という理解だけあれば十分です。
さらに詳しく、ワインの香りの原因物質の構造まで記載されているのが参照3です。
化学に詳しい方はむしろここまで見えた方が極性・官能基等が比較できてしっくりくるかもしれません。日本語で読めて、かつ満遍なく網羅しているという点で優れた資料だと思います。
1.
Cotton, S.(2009). If it smells - it’s chemistry. Royal Society of Chemistry. Available at:https://eic.rsc.org/[Accessed 26 Nov 2017]
2.
Puckette, M.(2015). Where Wine Flavors Come From: The Science of Wine Aromas. Wine Folly. Available at: http://winefolly.com[Accessed 26 Nov 2017]
3.
Nami.(2013). ワインの香り評価用語. におい・かおり環境学会誌. [online]. Available at:https://s3.amazonaws.com/[Accessed 26 Nov 2017]
2017年11月25日土曜日
ワインの起源はどこなのか?
- Puckette, M. (2017). Where Did Wine Come From?. Wine Folly. Available at:http://winefolly.com[Accessed 25 Nov 2017].
- St. Fleur, Nicolas.(2017). Wine From Prehistoric Georgia With an 8,000 Year-Old Vintage. The New York Times,[Online]. Available at:https://www.nytimes.com/[Accessed 25 Nov 2017].
- Mcgovern, P. (2017). Early Neolithic wine of Georgia in the South Caucasus. Proceeding of the National Academy of the United States of Aerica. Available at:http://www.pnas.org/[Accessed 25 Nov 2017].
2017年11月23日木曜日
Domaine Thomas
2017年11月21日火曜日
【テイスティング】Corcova Reserve Syrah 2012
【テイスティング】Barbera d'Alba 2012 Giuseppe Cortese
2017年11月19日日曜日
【テイスティング】飛鳥ワイナリー Cabernet Sauvignon 2013
【テイスティング】Ruche di Castagnole Monferrato DOCG 2012, Ferrarois Agricola
【外観】
中程度のルビー色。
【香り】
中程度であるが明確に胡椒の香りが際立っていて支配的。これは品種での特徴だと思われる。黒・白胡椒、シナモン、ユーカリ、セージ、ヴェルガモット。エスニックでスパイシーな印象。赤系果実があるけど、その印象はスパイシーさと比較すると強くない。
【味わい】
辛口。酸味は強くなく中程度。度数は中~やや高い。ボディー、味わいの強さは中程度。スパイスの要素が際立って高い。ただしこれが個性だと思われる。
合いそうな食べ物を探してみたい面白いワイン。
【テクニカル】
品種:Ruche 100%
仕立:長いコルドン上で短梢剪定。
発酵:Rucheの個性を残すため、温度管理が可能なステンレスタンクで行う。
地域:Astiの北東部。海抜220~250m。
熟成:ステンレスタンクないで熟成
濾過:無濾過
ぶどう本来の個性をより引き出し、それ以外からくる要素を少なくしている感がある。
【メーカーwebサイト】
https://www.ferrarisagricola.com/en/home/
【テイスティング】マスカットベリーA Barrel Aged 2014 熊本ワイナリー
【外観】
淡いルビー。縁にレンガ色の様な色味はまだ出ていない。若そう。
【香り】
香りの強さはやや強い。熟したイチゴ、イチゴガム、パイナップル、レッドチェリー。
カルボニックマセラシオンで醸造しているか、もしくはヴィニフェラではなさそう。
後になってに気づいたが、微かにFoxyな香りがある。それでも上手くバランスが取れていて、全体の印象を壊してしまう程では全くない。
【味わい】
オフドライ。タンニン少(これがCMと考えた理由の1つ)、度数・酸味は中程度。
フレッシュであるけど適度に複雑さもあって、かつ飲みやすい。
少ないタンニン、缶詰のパイナップルや熟したイチゴの香りがあったので当初迷わずガメイを選択。それであればしっかり色が出るはずなのに、それは無視したのがまずかった。
【テクニカル】
今となってはよくわからん。樽熟は長いか。そうだとすると、樽からくる性質が強くなりすぎずバランスが上手く取れている印象。
度数は13%
【テイスティング】Torreon de Paredes Cabernet Sauvignon 2016
【外観】
淡い赤(WSET用語ではない)。オレンジの要素はない。
粘性に特別な特徴なし。
【香り】
ビーマンの様な青さが違和感ない程度に確認できる。それでも全体の印象に悪影響を与えるレベルではない。青いリンゴ、柑橘系、いちご。さだまらすぎ。
【味わい】
酸味はやや強い。アルコール、ボディー、味わいの強さは中程度。ほのかな甘さもあるけど辛口として良いとの思う。
フレッシュなところが醍醐味なワイン。カベルネ品種から来ると思われる青さは新鮮さをなお強めていて、良し。粗がなく無難に良い。
【考察】
やや感じられるピーマンぽさカベルネ品種からくるものと思われる。色合いはロゼの中でも割としっかり赤が立っている部類。酸が高く温暖地域で作られたワインではなさそう。色合いが濃すぎる気はしたけど、ロゼ・ダンジュかと思った。
Rose d'AnjouとCabernet d'Anjouを比較すると前者の方が残糖が少ない可能性がある。
【テクニカル】
●度数:13%
●総酸量:4.17g/L
●発酵:ステンレスタンク
●気候:Cachapoal Valleyの高地にあるRengoという街の中心部で作られる。周辺の山に閉ざされていて他地域と比べ冷涼で乾燥している。アンデスの影響に晒される地域。
【テイスティング】都農ワイナリー シャルドネ Barrel Aged 2012
【外観】
濃いレモン色
粘性は高くない
【香り】
強さは中程度。赤いリンゴ、プラム、アプリコット、アカシア、クリーム、セージ
割と複雑な要素がある。ただ、淡い。乳製品の様な香りが微かにある。マロラクティックか?
【味わい】
やや強い酸味。アルコールはやや低い。特に品種の個性が感じられるものではない。おそらくアロマティックな品種ではない。全体的に淡い味わい。アルコールも低いため、酸が際立つ印象を受ける。
【考察】
色が濃い理由を推定できない。品種であればグリ系品種(この場合あり得るのは甲州)、醸造法であれば発酵前浸漬、長期の浸漬、熟成過程での意図的酸化)。もしくはぶどうの完熟度が高くても色が出ることはあるけど、度数が低いことを考慮すると、それはなさそう。
果実の凝縮感がなく、おそらく雨が多い地方で作られてる。
結論として、日本の甲州だと思っていた。吟醸香がないのは違和感がのこるところだった。
マロラクティックをしているシャルドネだということは考えるべきだった。